JR北海道は赤字が続く道内の在来線8線区について、上下分離方式への移行を含めた協議を道や沿線自治体と進める方針を発表しました。上下分離方式は運行をJR北が担い、線路、車両、駅、土地などを自治体が所有するものです。JRだけでは路線の維持が困難との理由ですが、財政難の地方自治体からは異論が出ています。
JR北は4月15日、年間の赤字が計約150億円(2024年度)にのぼる8線区について考え方を発表しました。「当社単独では維持困難な状況」だとし、「維持する仕組み構築のため」に、(1)輸送体系のさらなる見直し(2)運行に必要な担い手確保(3)鉄道資産の自治体譲渡による固定資産税軽減(4)運行会社と資産保有の法人に分ける上下分離方式検討―を中心に協議を始めたいと表明しました。
協議を進め夏頃までに中間とりまとめを行い、今年度中には「抜本的改善策」を出す構えです。
■自治体に負担転嫁
上下分離方式は欧州では一般的で、JR只見線などローカル線維持にむけ国内でも多くの事例があります。
しかし、国が責任を果たさず、自治体に負担を押し付けるだけでは問題は解決しません。日本共産党は、「民間任せ」「地方任せ」を根本から改め、国が責任を果たし、完全民営のJRの鉄道網を国有民営=上下分離方式にすることを提案しています。
「攻めの廃線」とまで言い、鉄路廃止の「旗振り役」ともなった鈴木直道・道知事も、今回の発表については「上下分離ありきの議論を進めるのは課題が多く容易ではない」と指摘。JR、沿線自治体、道だけでは解決できないとして、「国の関与」が必要だと主張しました。
対象8線区は、石北線、宗谷線など特急も運行する長大幹線を含み、現存する在来線の半分以上にあたります。
JR北は今年4月までに、1日の平均利用者200人未満の、特に維持困難とする5線区すべてを廃線にしました。うち一部は代替バスの運行もままならず公共交通空白区になった地域もあります。
■分割・民営の結果
北海道新幹線の延伸(新函館北斗―札幌)は、トンネル難工事に直面し開業を38年まで先送りしましたが、新幹線開業にともなう並行在来線の廃止(小樽以南)で道民の足がさらに削られます。
国交省は24年3月、監督命令をJR北に出し、31年度までの「経営自立」にむけ徹底的な経営努力を求めました。国の圧力によって、JR北が在来線淘汰(とうた)を断行したり、自治体に負担を押しつけるなら公共交通機関としての信用をさらに失いかねません。
1987年に国鉄が分割・民営化された当時から、JR北が赤字になるのはわかっていました。経営難は分割が招いたものであり国が路線存続に責任を持つのは当然です。
鉄道輸送の社会的意義を踏まえ、北海道の鉄路を維持する十分な財政支援とともに、地域住民と利用者にとってどのような鉄路の将来像が望ましいか、全国鉄道網の今後についての議論を含め、国は真摯(しんし)な姿勢で関与すべきです。

