泥水に沈み、土砂や流木が至る所になだれ込んだ町…。8年前、西日本を中心とした広い範囲に多大な被害をもたらした大雨。それが本格的な警戒レベル制度の導入につながりました▼あの豪雨で情報が出ていたにもかかわらず、切迫度が十分に伝わらないで避難が遅れ、多くの犠牲者を出した反省からでした。そのため、危険度を数字で整理し、住民のとるべき行動を5段階に分けて示す仕組みが取り入れられました▼本格的な大雨の季節を前に気象庁が新たな防災気象情報の提供を始めました。5段階の情報を再編し、危険度に応じて警戒レベルと警報などの名称を併記。レベル4の危険警報で、自治体は危険な場所から全員の避難を求める「避難指示」を出します▼情報の対象は、大雨や河川氾濫、土砂災害や高潮の四つ。防災にはこうした避難情報も必要ですが、災害から身を守るには日ごろの備えとともに国の防災対策が欠かせません▼今国会に提出された「防災庁」設置法案が衆院を通過しました。首相をトップに「防災と発災時の対応から復旧・復興までの一貫した災害対応の司令塔」と位置づけられていますが、その役割を果たせるか今後が問われます▼政府は「人命・人権最優先の防災立国」を実現すると。しかし高市首相が熱心なのは、それとはかけ離れた政策や法ばかりです。軍事に巨額をかけるのではなく、防災や被災者の生活再建に力を尽くす。それでこそ、自身の使命だという「強く豊かな、日本列島」をつくることに。
2026年5月29日

