4月27日から開かれていた核不拡散条約(NPT)再検討会議は5月22日、成果文書を発出することなく閉会しました。すべての締約国の合意(コンセンサス)で文書の採択ができなかったのは2015年、22年につづいて3度目となり、核兵器廃絶に背をむける核兵器国―米英仏ロ中の姿勢が厳しく問われます。
今回の再検討会議は、世界で大国による国連憲章違反の戦争が行われ、人類が核兵器の深刻な脅威に直面する重大な情勢のもとで開かれました。しかも、再検討会議が2回にわたって成果文書を発出できなかったもとで、NPTの信頼性が問われていました。
■7割超の国が要求
それだけに、核軍備撤廃の誠実な交渉の義務を定めた条約第6条を再確認し履行することが求められていました。そのために、00年の会議で確認された「核兵器の全面廃絶に対する核兵器国の明確な約束」や、10年の「核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを確立する特別の努力」を再確認し、実行することが必要でした。
核兵器国がこれらの行動を怠り、NPTの信頼性を損ねてきただけに、会議でもここが最大の争点となりました。討論では7割をこえる国が、核兵器国に対し第6条にもとづく核軍備撤廃の行動を求めました。
成果文書が発出されなかったことで、多くのメディアは「決裂」「失敗」と報じましたが、会議が核兵器問題をめぐる世界の本流をあらためて浮き彫りにしたことは、今後の希望を示す大きな意義がありました。
日本共産党は再検討会議に志位和夫議長をはじめとする代表団を送り、▽国連憲章の順守▽非核兵器国への核使用・威嚇を行わないこと▽第6条にもとづく核軍備撤廃の行動▽中東非核決議の履行―の4点を会議主催者、国連担当者らに要請しました。
13日に明らかになった成果文書の案には、これらのすべてが盛り込まれていました。わが党の要請が、締約国の大多数の立場と一致し、世界の平和の流れに立ったものであることが示されました。
■妨害越える運動を
しかし、あくまで核兵器の維持、強化をはかろうとする核兵器国は成果文書案の骨抜きをねらいました。核兵器廃絶を「究極」の課題として棚上げし、核兵器使用の非人道性についてもふれないなど、改悪の要求を次々と突きつけました。
合意に至らなかった直接の原因はイランをめぐる文言での対立だといわれますが、根本に、条約の義務と合意の確認すら拒む核兵器国の姿勢があったことは明らかです。
唯一の戦争被爆国でありながら、日本政府は会議の一般討論で、第6条にまったくふれませんでした。これを追及した吉良よし子議員の質問に、高市早苗首相は、核兵器国の責任にすら言及できませんでした。(11日、参院決算委員会)
核兵器に固執する勢力の抵抗、逆流を乗り越えるため、核兵器禁止条約を力に、被爆者を先頭とした草の根の運動のいっそうの発展が求められます。

