「緊急事態条項はまさに憲法停止条項です」(日本共産党の畑野君枝議員)
改憲の原案や発議、国民投票などの審査を目的にした衆院憲法審査会で、憲法に「緊急事態条項」を盛り込むイメージ案を議題に議論が行われました。畑野議員が同審査会で行った意見表明で、緊急事態条項創設の危険性が明らかになっています。
イメージ案は、緊急事態条項が必要だと主張する政党の意見や論点を並べています。中立公正であるべき衆院法制局に自民党など一部会派が作らせたもので、全体の合意にはなっていません。
最近の世論調査でも国民は国政の優先課題として改憲を求めていません。イメージ案によって改憲論議があたかも進んでいるかのように宣伝することは許されません。
■戦争の体制づくり
イメージ案は、緊急事態発生への対応について二つの場合を想定しています。
一つは、国会機能の維持ができなくなる場合で、内閣が法律と同じ効力を持つ「緊急政令」を制定し、「緊急財政処分」として予算を執行できるとしています。
もう一つは、広範な地域で長期に国政選挙ができなくなる場合で、内閣が国会の承認を得て議員の任期を延長できるとしています。
緊急事態の定義としては▽大規模な自然災害▽感染症のまん延▽外部からの武力攻撃―などを挙げています。
しかし、戦後80年以上、東日本大震災でも、コロナのまん延でも、憲法に緊急事態条項がないために対応できなかったという問題は起きていません。しかも、災害や感染症の対応が不十分だというのであれば、個別の法律で対応できます。結局、緊急事態条項を憲法に盛り込む狙いは、戦争体制づくりにあります。
■歴史の教訓に逆行
緊急政令や緊急財政処分の規定は、内閣に権限を集中させ、国民の基本的人権の制限を可能にします。国会議員の任期延長は、国民の参政権を停止し、時の政権が国会の多数を維持し続けるためのものです。いずれも歴史の教訓に逆行します。
戦前の大日本帝国憲法は、「緊急勅令」や「緊急財政処分」を定めていました。1928年、当時の政府は、死刑を導入する治安維持法改悪案が議会で廃案になったにもかかわらず、緊急勅令で成立させるなど、戦争に反対する国民の弾圧に使いました。緊急財政処分も朝鮮半島や中国への侵略戦争を遂行する戦費調達のため乱発されました。
41年、政府は、挙国一致のためとして衆院議員の任期を立法措置で1年延長し、太平洋戦争に突入しました。
そのため、戦後の日本国憲法は、緊急勅令などを廃止しました。国会議員の任期は、権力の行使を縛る憲法に明記し、国民主権と民主主義を徹底しました。
日本国憲法が緊急事態条項を否定したのは、悲惨な戦争を二度と起こさないという決意に基づくものです。緊急事態条項創設の議論は、9条改憲と一体に「戦争する国づくり」を進め、憲法の精神を根本から覆そうとするもので断じて認められません。

