自民党が今国会での成立を狙っている国旗損壊罪。自民党のプロジェクトチーム(PT)の会合で大筋了承した「日本国国旗損壊罪(仮称)骨子」に示されている資料には、市民の国旗をつかった政治的主張を“排除”するかのような事例が示され、国旗損壊罪の危険性がますます明らかになっています。
立法の必要性なし
資料では「国旗損壊などの行為として指摘された事例」をあげています。その一つは、選挙演説で、街頭演説に抗議する人が、バツをつけた「日の丸」を掲げた事例です。国旗を使って政治的主張を行ったことを懲役(2年以下の拘禁刑)も含めて罰せられるとなるなら、思想・信条の自由、表現の自由の脅威となる危険性があります。
資料では、「国旗損壊などの行為の事例」として逮捕された四つの事例と、逮捕されなかった四つの事例を挙げています。逮捕されたすべての事例は、他人所有の国旗を損壊し、器物損壊罪などで逮捕されています。他人所有の国旗の損壊は、既存の法律で罰することはできるのです。
骨子は「自己所有の国旗も対象」としています。逮捕に至らなかった「国旗損壊等と指摘された事例」は2002~24年までの期間でわずか4例です。その中で、自己所有の国旗損壊と考えられるのは2例です。その一つが、選挙の街宣で、日の丸にバツをつけた事例です。
「事例」はありますが、極めて限られており、立法が必要とは考えられません。骨子は「事案の発生を将来に向かって抑止することを図る」と言わざるを得ないのです。
「表現次第で犯罪」
骨子は、保護すべきものを「国旗を大切に思う国民感情」といい、害する行為は「著しく不快又は嫌悪の情を催させる方法・状態」と言います。「一般通常人を基準」とするとして「最終的には裁判所が判断する」としています。きわめてあいまいです。
表現の自由との関係では、「アニメ・漫画・ゲーム・映画などの創作活動を妨げるものではない」などとする一方で、実物国旗を用いた芸術的表現には「社会通念上、相当と認められるものは、対象外」としています。あいまいな規定であり、「表現によっては犯罪」という萎縮を招く危険は避けられません。
表現の自由など基本的人権の侵害の恐れが高い国旗損壊罪の創設を許すわけにはいきません。
■国旗損壊罪自民党の骨子概要
対象 社会通念上「国旗」と認識された実物。自己所有の国旗を含む
方法 人に著しく不快又は嫌悪の情を催させる方法・状態
行為 自らが公然と損壊、除去または汚損する行為
法定刑 2年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金

