ギターをつま弾く手が、テレビ画面いっぱいに映し出されました。やがて染みいるような優しさと力強さを持つ歌声が。歌っていたのは南米チリのシンガー・ソングライター、ビクトル・ハラ。曲は「平和に生きる権利」でした▼先日のNHK・Eテレの番組で、世界のポピュラー音楽を日本に紹介しているピーター・バラカンさんがハラを取り上げました。「平和に生きる権利」はアメリカによるベトナムへの侵略戦争に反対し、平和を訴えた曲です。世界各地で戦乱が起きているいま、ハラの歌声が心に響いてきました▼自由で民主的な社会を求めて歌ってきたハラは国民的な人気を集めていました。しかしチリでは1973年に軍事クーデターが。ピノチェト独裁政権に抵抗したハラは、指をつぶされるなどの拷問を受けた末、虐殺されました。クーデターには米CIAの関与も取り沙汰されています▼戦争に反対して殺される。日本でもかつてあったことです。現在も国民を監視して運動を封じ込めようとする「国家情報会議設置法案」が国会で審議中です▼平和に生きる権利は日本国憲法前文にも。「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」。この言葉をいま高市早苗首相をはじめとする各国の指導者に受け止めてほしい▼どんなに逆流があっても平和への願いはけして消えません。「平和に生きる権利」は世界で歌い継がれています。この権利をすべての人にと。
2026年5月23日

