(写真)大量のPCBを含有する変圧器(写真中央の物体)。変圧器全体の重量は1基あたり36トン、PCB由来の油約1万6480リットルを含む=東京・米軍横田基地内。米国防総省の資料から
政府は22日、在日米軍が保有するポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物処理に関して日本共産党の辰巳孝太郎衆院議員が提出していた質問主意書への答弁書を閣議決定し、防衛省が2003~24年度の21年間で、計約552トンの米軍PCB廃棄物の処理を約7億円をかけて肩代わりしたことを明らかにしました。さらに、同省が24年度末時点で在日米軍のPCB廃棄物約4トンを保管していることもわかりました。
PCBは日本最大の食品公害事件と言われるカネミ油症事件の原因物質で、肝臓障害や心臓疾患、骨の変形などの高い毒性に加え、自然界で分解されず体内に蓄積されるため、ストックホルム条約で廃絶と適正処理が求められています。
米軍基地やその跡地でPCBが大量投棄されている問題などが発覚し、在日米軍は02年、「廃棄物は米本土に搬出する」と約束しました。ところが防衛省が長年にわたり日本国内で処理を引き受けていたことが発覚。日米両政府は24年、在日米軍保有のPCBのうち米国など海外製のものは米本土へ移送し、日本製のものは廃止期限内に日本国内で処理し、期限後は全て米国に移送すると約束しました。しかし、政府が今国会に提出したPCB廃棄物処理特措法改定案は「2027年3月末」としていた処分期限を撤廃。本来、米軍に求めるべき汚染者負担の原則をあいまいにし、日本の負担で有害物質の処理を無期限で引き受ける危険が浮き彫りになっています。
日本政府は、PCB処理の肩代わりの根拠に、在日米軍施設の返還で米軍側は環境汚染の原状回復義務を負わないとする日米地位協定4条などを挙げています。しかし、米軍側は廃棄物の保有量や保有する施設名を明らかにしていないため、在日米軍が運用中の施設から返還施設に廃棄物を移動させてしまえば、在日米軍が保有する全てのPCB処理を日本政府に行わせることが可能になります。
これまでPCB処理を行っていた中間貯蔵・環境安全事業(JESCO)が26年3月に閉鎖されたことを受け政府は、今後は全国26カ所の民間処理施設のいずれかで処理を行うとしています。PCB処理事業では過去に何度も漏出事故が起きており、国が安全管理に責任をもてるのかが問われます。

