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2026年5月21日

殺人ドローンの運用で日米連携

「低コスト」で際限無い戦争に
沖縄から無人兵器で中国攻撃想定

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(写真)パレスチナ・ガザ地区上空を飛行するイスラエル軍のドローン(公開写真)=2024年9月

 「陸上自衛隊とは緊密に連絡を取り合い、いつでもドローン(攻撃型無人機)の訓練をできるようにし、一緒に高めたい。来週も陸自と訓練をする予定だ」。在沖海兵隊のブラント・ウェイソン少佐は記者の質問に、こう述べました。

「新たな戦争」の柱

 米海兵隊は近年、ドローンの配備を重視しています。ロシアのウクライナ侵略をはじめ、近年の紛争でドローンが主力兵器として活用されていることを踏まえたもの。中国はすでに、数百機のドローンを群れ(スウォーム)で飛ばし、迎撃困難な状況をつくる技術を向上させています。

 米海兵隊は昨年11月に改定した「フォース・デザイン2030」でドローンを初めて明記。新たな戦争の要素にドローンをあげ、歩兵大隊のドローン攻撃能力強化を盛り込みました。「すべての海兵隊員はライフル射撃手」をモットーとする海兵隊がドローンを歩兵の攻撃手段に加えるのは、大きな変革です。

 米海兵隊攻撃ドローンチーム(MCADT)は昨年1月、米バージニア州のクアンティコに設立。沖縄でもドローン訓練が活発化しています。米国防総省のニュース配信サイト「DVIDS」によると、昨年11月、本島中部のキャンプ・フォスターで小型偵察無人機の飛行訓練を初実施。同機は、戦場の全体像の把握や標的の発見、特定、追跡ができ、「インド太平洋地域における作戦上の要求を支える不可欠なツール」だと指摘しました。

 さらに米海兵隊と米海軍は今年3月、本島北部のキャンプ・ハンセンで海軍の艦艇から無人機を飛ばし、敵の艦艇を攻撃する訓練を初めて実施。米海兵隊員は3Dプリンターで部品をつくって、無人機の修理・改造もできるよう「エンジニア」としての能力も重視しています。

 一方、本紙は、中国軍が大量のドローンによる攻撃を行った場合にどう対処するか質問しましたが、米海兵隊は「運用の問題上、答えられない」と拒否。現時点で中国に後れを取っているとみられます。

3文書改定でも

 米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)は5月12日に公表した報告書で、米インド太平洋軍の台湾防衛構想である「ヘルスケープ(地獄絵図)構想」を紹介。米軍の無人航空機、無人潜水艇、無人艇を大量に投入して中国軍に対抗するもので、「ウクライナとロシアは戦場で毎月数十万機のドローンを使用していた。米国と台湾は、数十万機以上の無人機を生産する必要があるだろう」と指摘しました。

 日本政府も、年末に予定されている安保3文書改定でドローンの活用を最重要項目の一つに位置づけています。3文書改定に向けた自民党安全保障調査会の論点整理では、日本も「スウォーム型」運用を目指すべきだとの意見や、軍事ドローンの運用を優先させるため、電波法の改定を求める意見も出されました。

 ドローンは、安価に重要インフラを破壊できる「費用対効果」が最大の利点です。ロシアによるウクライナ侵略や米・イスラエルによるイラン攻撃では、高価な迎撃ミサイルを相手に使わせ、経済的に疲弊させるために使われています。

市民の監視必要

 裏を返せば、「ドローン戦争」に足を踏み込めば、「低コスト」で戦うことができるため、際限の無い戦争に道を開く危険があります。さらに、現場の兵士にとっては、生身の人間を殺害する心理的な敷居が下がり、戦争がより残虐になっていくことが、とりわけイスラエルのガザ侵攻で証明されています。

 防衛省も今後、米軍に歩調を合わせて、人を直接殺傷するドローン導入を選択肢に上げる危険もあります。そうしたことを許さないために、市民的な監視が必要です。(斎藤和紀)