新緑まぶしい季節。生命の息吹をことほぐかのように鳥たちの鳴き声もにぎやかです。そのかまびすしいさえずりに目覚める朝も▼春から夏にかけての繁殖期。おもに求愛や縄張りを守るために発しているそうですが、どんなことを伝え合っているのか。それを研究テーマとしているのが動物言語学の分野を開拓した東大准教授の鈴木俊貴さんです▼「ジャージャー(ヘビだぞ)」「ヂヂヂヂ(集まれ)」。あくなき観察と膨大なデータによって鳥が鳴き声を使い分け、仲間たちに天敵の存在やエサ場を伝達していることを世界で初めて証明しました。研究成果をまとめた『僕には鳥の言葉がわかる』は異例の売れ行きを▼これまでの固定観念をひっくり返して、「人間だけが言葉を持つという思い込みがあると、見えてこない世界がある」。昔の人間は鳥の言葉がわかったと思う、それを知ることは人間が自然とのつながりを取り戻すことになるといいます▼愛鳥週間が設けられた5月は野鳥をはじめ、自然環境を保護する意識を高めるとき。このところの季節外れの暑さで鳥たちもおとなしくなったような気もしますが、気候変動による異変はすべての生態に大きく影響しています▼鈴木さんと対談した歌人の俵万智さんは、鳥は基本的に生きるために言葉を使っている、人間にとっての言葉も本来はそういうことのためにあったはずだと語りました。人間は動物から言葉との付き合い方を学んでほしいと鈴木さん。生きる喜びを言祝(ことほ)ぎ合うためにも。
2026年5月19日

