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2026年5月18日

美浜原発 蒸気漏れ

50年 厚み測定せず
11人死傷の教訓どこへ

 タービンから蒸気漏れを起こした関西電力美浜原発3号機(福井県)。破損が見つかったタービン・カバーの閉止キャップは、運転開始から約50年にわたり厚さが測定されていませんでした。専門家は、過去の死傷事故の教訓が生かされていないと指摘しています。(松沼環)


 今月損傷が見つかったキャップは、3号機建設の際に不要な配管の接続箇所を閉止するため溶接したもの。直径40センチの炭素鋼です。本来の厚みは20ミリですが、損傷箇所の周りでは約1ミリと著しく薄くなっていことが事故後の超音波測定で分かりました。

 関電は、定期検査3回に1回の頻度で高圧タービンのカバーを外して点検をしていました。しかし、点検は目視で、局所的な腐食が見つかった場合に必要に応じて厚みを測定するルールで、結局、1976年の運転開始から、一度もキャップ部分の厚みの測定は実施されませんでした。

 今回の損傷の原因究明はこれからです。しかし、配管などにしばしば見られる減肉は、配管の屈曲部や太さが変化した箇所の下流で発生しやすいことが知られています。しかし、原子力規制委員会は、損傷したキャップが美浜3号機タービン特有の構造だったとして、他の原発に点検対象を広げる必要性について、現時点では考えていないとしています。

過去にも減肉が

 2004年8月に美浜原発3号機で起きた2次冷却水配管の破裂事故も減肉が原因でした。直径56センチの配管から蒸気が噴き出し、定期検査の準備中だった検査会社の作業員11人が死傷しました。破裂した配管は厚みは本来10ミリあるものが1ミリ以下になっていました。破裂した配管は、管理対象リストから漏れ、管理されないまま28年間にわたって検査も交換もされていませんでした。

 関電は、死傷事故後に2次系配管の総点検をしました。しかし、閉止キャップは2次系配管ではないとして、総点検の対象に含めなかったと説明しています。

 技術者として美浜原発に勤務したこともある「原発住民運動福井・嶺南センター」の山本雅彦事務局長(敦賀市在住)は「蒸気が来る機器なのだから点検は必要です。配管でないから総点検の対象としなかったという説明は理解できません。高圧タービンでなくとも、高圧で流れる同じような構造はあるのではないか。今回、点検が不十分な箇所が見つかったのだから確認すべきです」と指摘します。

 美浜原発3号機のような加圧水型原発の2次冷却水は、通常放射能を含みません。しかし、2次系といっても原子炉の冷却に関わります。実際、今回の蒸気漏れでは原子炉を手動停止しました。04年の蒸気漏れでは原子炉が緊急停止しています。原発の安全性にとって軽視できるものではありません。

 山本さんは「死傷事故の教訓が生かされていません。関電は2次系だから漏れても止めればいいと高をくくっているのではないか。県民は、死亡事故を思い起こして不安を覚えています。04年の事故の際、関電幹部は『ヤカンと同じで、穴が空いたら修理すればいい』と発言していました。点検を怠り、人身事故が起こっても、人の命を部品のように扱う姿勢に、強い憤りを感じたことを覚えています」と話します。

関電に資格なし

 美浜原発3号機は、関電の高浜原発1、2号機についで国内3番目に古い原発です。今年12月に運転開始から50年になります。規制委で現在、50~60年の運転に必要な長期施設管理計画の審査が行われています。

 今回の損傷箇所は定期的に目視点検が行われていながら、蒸気漏れが起こるまで減肉を見つけられませんでした。点検方法など管理のあり方が問われます。関電に老朽原発を運転する資格はありません。