高市早苗首相は産経新聞のインタビュー(5月3日付)で、参院選「合区」の解消と緊急事態への対応のための改憲が急がれると明言、改憲発議へさらに踏み込んだ発言をしました。
「現実問題として、とても急ぐのは、再来年が参院選の年ですので合区解消は急がなければなりません」と言明。「参院では与党が3分の2どころか過半数も有していない」もとで、「現実的に一つずつ一つずつ(議論を進める)ということになると(合区解消と緊急事態の)二つが急がれる」と強調しました。
憲法尊重擁護義務を負う現職首相が改憲項目の優先順位を口にし、時間枠まで設けて、改憲の旗振りをするのは前代未聞の事態で許されません。
高市首相はあまりにも露骨な改憲の旗振りをやめるべきです。
■国民の意思は明確
高市首相は改憲について、施政方針演説(2月)で「国会における発議が早期に実現されること」に公然と期待を表明し、さらに自民党大会(4月)で「時は来た」と宣言、「発議のメドが立ったといえる状態で来年の党大会を迎えたい」とあおり立てました。
しかし、「時は来た」ということ自体、手前勝手な作り話です。
世論調査では、「もっとも優先的に取り組んでほしい政治課題」を12の選択肢から一つだけ選んでもらうと「憲法」は1%で、「年金・医療・介護」38%がトップ、続いて「財政・税制・金融」17%でした(「朝日」5月9日付)。
憲法論議のすすめ方についても「改正に慎重な政党も含めた幅広い合意形成を優先するべきだ」(共同通信5月1日)が73%と圧倒的です。
どの世論調査も、改憲を優先課題とする声はなく、国民の意思は高市首相の期待とはまったく違います。
もともと高市首相が憲法を変えたい核心は9条です。「私は個人的に、『日本国憲法改正草案』が好きです」(「コラム」2022年5月3日)という自民党の同案(12年)は戦力不保持を宣言した9条2項を捨て去り、「国防軍を保持する」と明記しています。
自民党は18年、国民の強い批判を受け、その草案をいったん見送り、国民にのみ込ませやすいと考えた4項目(自衛隊明記、緊急事態対応、参院選「合区」、教育充実)の改憲案を提起しました。さらに今回、与党少数の参議院でも抵抗感が少ないとみて「合区」、緊急事態対応を先行させる党略的判断を働かせたわけです。
参院自民党は4月、「憲法改正実現議員連盟」を結成、中曽根弘文会長は「2年後には参院選がある。各党が案を出し、まとめていかなければならない」としています。
■企てを打ち破ろう
参院合区など選挙制度については、参院改革協議会に各党が参加し議論しています。それを憲法審査会に持ち込もうとすること自体、筋違いであり、言語道断の暴挙です。
憲法9条を守れ、の声をいっそう大きくするなかで、参院選「合区」、緊急事態改憲など高市首相の憲法改悪のさまざまな企てを打ち破ることが必要です。

