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2026年5月16日

きょうの潮流

 途方もない年月の重さが改めて迫ってきます。「人生を純粋にやりなおすには余りにも遅過ぎる」「死刑台から私を救済して下さいますようお願いします」▼袴田巌さんが獄中にいたとき、家族にあてた手紙につづりました。無実を訴えながら再審の扉は固く閉ざされ、やがて面会にも応じず手紙も途絶え、精神に変調をきたすように。逮捕から無罪確定まで58年の日々が流れました▼無罪になるまで38年を費やした前川彰司さんは「長期にわたって重い十字架で苦しむことになった。生き地獄」だったと。人殺しと呼ばれ絶望の淵に立たされ続けました。教会に通う今も自分の人生は何だったのだろうと自問しています▼いずれの場合も検察の不服申し立て(抗告)が再審の道を遠ざけました。本人や家族、弁護団の粘り強いたたかいによって捜査機関による証拠隠しや捏造(ねつぞう)も明らかに。誤りを認めない権力のおごった姿勢があらわになっていました▼問題となってきた再審制度のあり方を見直す法改正案を政府が閣議決定しました。しかし、えん罪の当事者や救済にとりくむ市民、超党派議連の改正案に比べて不十分さは拭えません。求めてきた検察抗告の全面禁止や証拠開示に抜け道をつくり、再審請求を門前払いするような規定さえも▼誰にも降りかかる恐れがあるえん罪被害。それは今も後を絶っていません。人生を奪われた巌さんは獄中で叫びました。「事実誤認で人を殺してもよいというのか。国民にとって何のための法か、裁判か―」