「狭小住宅」。そんな言葉を最近知りました。テレビ画面に映し出されたのは、3畳ほどの広さに机と小さな収納棚、ハンガーラックで埋まった部屋。ロフトがあり、そこで寝るようです。住人は満足しているようでしたが、閉塞(へいそく)感は否めません▼かつて「うさぎ小屋」と揶揄(やゆ)された住宅事情。いまは若い世代に人気だと報じていました。狭くても立地が良く家賃は安いから。背景に家賃の高騰があるのは明らかです▼再開発で街が壊され、タワーマンションの建設が相次いでいます。富裕層が購入し転売する…。そうした動きが住宅価格の高騰に拍車をかけ、都内の賃貸住宅の家賃にも大きな影響が▼政府は3月、今後10年の住宅政策の指針となる「住生活基本計画」を閣議決定しました。新たな基本計画は「最低居住面積水準」の語句を削除しました。「健康で文化的な住生活を営む基礎として不可欠」だとして設定されていた指標です。民間住宅などの最低限の広さの目安でした▼生活保護の住宅費にあてる住宅扶助は、約10年前に引き下げられました。当時、生活保護世帯が暮らす借家のうち、最低居住面積水準を満たす住宅はわずか13%にすぎず、保護世帯はさらに劣悪な住環境を強いられるようになりました▼そしていま―。ライフスタイルの多様化などで必要性が薄れたからと、最低居住面積水準を削除した国土交通省。「住まいの貧困」が助長されかねません。憲法25条にもとづく暮らしと住生活の保障こそ。「住まいは人権」です。
2026年5月10日

