ニューヨークで開催中の核不拡散条約(NPT)再検討会議で6日に配布された成果文書の草案は、核兵器保有国に対し、第6条が定める核軍縮の交渉義務と過去の会議での合意の履行を求めています。これらは締約国の圧倒的多数の国々が討論で上げた声を反映したものです。
過去2回の再検討会議は成果文書を採択できておらず、NPT体制の信頼が揺らぐ事態が続いています。その最大の原因は、米英仏中ロの核保有5カ国が第6条の義務や核軍縮に関する過去の合意に背を向けていることにあります。
今回の議長を務めるビエット大使(ベトナム)は開幕にあたり、NPTの「信頼性と妥当性」を再確認する機会にしたいと強調。条約の履行と過去の合意の実施へ具体的な行動を起こそうと呼び掛けました。
一般討論演説では議長の呼び掛けに呼応する発言が相次ぎました。
中米コスタリカは「核軍縮の義務が実践されないならNPT体制の信頼が弱まる」と指摘し、核兵器国に第6条の実践を要求。「核軍縮の進展が不拡散体制の維持の条件であること」を会議で確認するよう訴えました。中東を非核・非大量破壊兵器地帯にするとした1995年の決議、核廃絶に向けた「明確な約束」に触れた2000年の合意などの実施も訴えました。
アイルランドは、核不拡散などNPT体制のもとでの成果を守り活性化させる重要性を強調。NPTは国際的な平和と安全保障の要だとし、第6条の実践を進めるメカニズムをつくることを提案しました。
各国の単独の発言だけでなく、非同盟諸国、東南アジア諸国連合(ASEAN)、アフリカ連合、カリブ共同体(カリコム)など国家グループや地域の共同体がそれぞれまとまった意見として、第6条や過去の合意の実践を呼び掛けています。米国やロシアの侵略戦争に対し、国連憲章や国際法の順守を求める発言も多く出ています。
こうした声がうねりとなって広がるなかで草案が配布されました。核保有国は、自国の核増強は棚に上げつつ、「第6条の義務を真剣に受け止めている」(米国)、「国際的な核軍縮体制を支持する行動をとり続ける」(中国)などと言い訳に追われています。
NPT会議は11日から後半2週間の議論に入り、草案の文言を巡る交渉が続きます。“第6条の義務を履行せよ”。この声に核兵器国がどれだけ真剣に応えるかが問われます。(島田峰隆)

