人生100年時代。誰もがどの地域でも安心して暮らし続けたいものです。そのための仕組みを見直す二つの法改正案が今国会で近く審議入りします。
■使いづらい制度だ
一つは、認知症などで判断能力が十分でなくなった人の財産管理や医療・介護の契約などを支援する「成年後見制度」の民法改正です。2000年に導入された現行制度では、後見が必要な一つの手続きのためだけでも、全ての金銭管理や契約に関する権限が広く後見人に委ねられてしまいます。制度を利用するきっかけとなった特定の課題が解決しても利用を終えることができません。
一度選ばれた後見人を途中で柔軟に交代させることも困難です。そのため、「権限があまりに強く、広く、使いづらい」との課題が指摘されてきました。
政府の推計によると、認知症の高齢者は25年で471万人。制度の利用は、約25万人と5%程度でした。今後、認知症の高齢者が40年には584万人に達するとされるなか、制度の見直しが求められてきました。
22年には、国連の障害者権利委員会から障害者権利条約に照らして「意思決定を代行する制度を廃止し、全ての障害者が法律の前に等しく認められる権利を保障する」ための民法改正を勧告されています。
法案はこれまでの「後見、保佐、補助」の3類型を改め、特定の行為の代理を行う「補助」に一元化します。包括的代理権を廃止し、本人にとって必要な範囲・期間での制度利用を可能とし、本人の自己決定をできるだけ尊重する制度に変わります。ただし、法律の前にひとしく認められるべき障害者の権利を定めた障害者権利条約第12条からすると不十分な点が残ります。
今後、家庭裁判所の役割もますます重要です。本人の判断能力を見極め、本人の意思を尊重しながら補助人の業務や利用の終了を適切に判断するためにも家裁の体制整備が必要です。
■地域で暮らすため
もう一つの仕組みづくりが、社会福祉法等の一部改正案です。成年後見制度の利用を終えたり、成年後見制度を頼らずに地域で暮らすためには地域の社会福祉の充実が欠かせません。改正案は、判断能力が不十分な人の権利擁護支援の中核的な役割を担う「地域権利擁護相談支援センター」の設置を可能にします。日常生活支援や円滑な入院などの手続き支援、死後事務の支援を無料または低額で行う事業を拡充します。
政府推計によると、558の市町村が50年には人口が半減(15年比)する見通しで、サービス提供の担い手減少と格差が懸念されます。認知症の高齢者や障害者のための地域福祉の現状は、担い手の不足や、介護・医療・福祉の基盤崩壊が深刻です。
その原因は、大軍拡を優先する自民党政治のもと、診療報酬や介護報酬、障害福祉サービス等の報酬の低さにあります。高齢者や障害者が地域で暮らし続けるためにも、報酬の抜本的な引き上げが急務です。

