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2026年5月7日

殺傷兵器解禁を本格化

日比防衛相会談 護衛艦輸出 協議合意

 小泉進次郎防衛相は5日、フィリピンのテオドロ国防相と首都マニラで会談しました。両氏は武器輸出や軍事技術協力を進めるための当局間のワーキンググループを新設することで合意し、声明を発表しました。比側が調達を検討する海上自衛隊の「あぶくま」型護衛艦と練習機TC90の輸出を狙っています。

 高市政権が武器輸出のルールである「防衛装備移転三原則」と運用指針を4月21日に改定し、殺傷兵器を含む武器輸出を全面的に解禁して以降、最初の案件となります。憲法の平和原則に基づく武器禁輸原則を完全に放棄し、本格的な武器ビジネスに足を踏み入れる重大な動きです。

 小泉氏は会談で、移転三原則と運用指針の改定について説明。テオドロ氏は歓迎したといいます。フィリピンは南シナ海での中国の覇権主義的な行動を念頭に、海軍力の強化を進めています。会談後、小泉氏は記者団に「移転時期や隻数を含む諸条件について早期に結論を得るべく精力的に議論する」と述べました。

 日本政府は2022年12月、23年3月の移転三原則改定で戦闘機や艦船、ミサイルや銃弾など、いわゆる殺傷兵器の輸出に道を開きました。しかし、そこには制約が残されていました。完成品の輸出は、他国との共同開発(注①)やライセンス品の「ライセンス元国」への輸出(注②)以外は、救難・輸送・警戒・監視・掃海といった「5類型」に合致した非殺傷兵器に限られていました。

 「あぶくま」型護衛艦は速射砲・機関砲や魚雷に加え、対艦ミサイル・ハープーンや対潜ミサイル・アスロックを搭載しています。従来の三原則と運用指針では、こうした武器の輸出は「5類型」に合致せず、不可能でした。日本政府はさらに、インドネシアへの中古潜水艦の輸出を狙っています。

 声明は、殺傷兵器を含む武器輸出は「パートナー国の抑止力・対処力強化等を通じ、地域の平和と安定を強化する」と正当化しています。しかし、武器輸出で他国の軍事力強化を助長すれば、中国を含む他の周辺国も軍事力を強化するという軍拡の悪循環を生み出すのは明らかです。

 フィリピンを含む東南アジア諸国連合(ASEAN)は中国との関係をめぐり、南シナ海行動規範(COC)策定を目指すなど、外交による地域の平和と安定を掲げています。こうした外交を後押しすることこそ日本が選ぶべき道です。

 注①=▽英国・イタリアと共同開発している次期戦闘機▽豪州と共同開発する「もがみ」型護衛艦(能力向上型)―があります。

 注②=ライセンス品とは、他国から技術を得て自国で開発する製品。昨年、日本政府は防空ミサイル・パトリオットを米国に輸出。イラン攻撃に転用された疑いもあります。