OTC類似薬(市販薬と同等の成分や効能を持つ医療用医薬品)を処方された患者に追加負担を課す健康保険法改定案の審議が参院に移ります。衆院では、改定案に盛りこまれたOTC類似薬の保険外しのために創設する「一部保険外療養」制度の二つの重大な問題点が日本共産党の辰巳孝太郎議員の追及で明らかになりました。参院で徹底した審議が必要です。
(写真)参考人に質問する辰巳孝太郎議員(右)=4月21日、衆院厚労委
問題点の一つは、法制上、薬剤以外の医療行為全般も保険適用から除外できること、もう一つは薬剤費を全額患者負担にできることです。診察や投薬、処置、手術などを一体で保障する公的医療保険制度の根幹を破壊する危険があります。
保険外し拡大も
同案は「一部保険外療養」について、OTC類似薬を用いた「療養その他の適正な医療」の提供を確保しつつ、「その要する費用のうち一部を保険給付の対象としないものとする」と規定。健康保険法では給付する「療養」の対象を診察、薬剤、処置、手術、入院、在宅療養、看護などとすると定めています。これらが保険適用除外となれば、患者負担は跳ね上がります。
4月15日の衆院厚生労働委員会で辰巳氏は、法案で保険給付の対象外とする「その他の適正な医療」には薬剤にとどまらず、診察、処置、手術なども含まれるのではないかと迫りました。厚労省の間隆一郎保険局長は「現時点でOTC類似薬以外を一部保険外療養として別途の負担を求めることは想定してない」と述べましたが、将来的に対象範囲を拡大することは否定しませんでした。
辰巳氏は「やろうと思えばいつでもできる条文になっている。とんでもないことだ」と批判。一度改定法が成立してしまえば、保険外しの範囲拡大を国会の関与なく厚労相の決定でできてしまうと指摘しました。
全国保険医団体連合会の中村洋一理事・政策部部長も意見陳述(4月21日)で、保険外しが医療行為に及ぶ危険性を指摘。「政府が『軽度』と見なす疾患を保険から外すことができることになる。例えば一般的な採血や水分点滴、皮下注射、簡易な外科処置、短期のリハビリ・心理療法、軽い麻酔など、さまざまな医療行為の給付が制限されていくのではないか」と警鐘を鳴らしました。
中村氏は、保険外しを医療行為にまで広げることが患者に与える影響について、「同じ病気であっても、お金のあるなしで治療の差が生じることになり、国民の間に分断を引き起こす」と批判。公正で公平な医療を提供する公的医療保険の趣旨が崩れるとの危惧を示しました。
薬全額負担に道
薬剤費を全額患者負担にすることが可能なことも明らかになっています。政府は2027年3月からOTC類似薬の薬剤費の25%を保険給付外として患者に別途負担させる方針です。4月24日の同委で辰巳氏は「今回は25%だが、法文上、医師が必要だと判断して処方する薬剤の全額保険適用除外はありえるか」と質問。上野賢一郎厚労相は「法制上、薬剤費の全額を別途の負担として設定することも可能である」と薬代が全額自費になりうると認めました。
辰巳氏は「必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保する」という国民皆保険制度の理念に反すると強調。原則禁止されている混合診療(保険診療と保険外診療の併用)の解禁であり、到底認められないと厳しく批判しました。
辰巳氏の追及は、各メディアやSNSで取り上げられ、大きな反響を呼んでいます。SNSでは「国民皆保険が壊される」「医療を受けられなくなる」など改定案への批判が殺到しています。国民の声を力に、参院で廃案に追い込まなければなりません。

