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2026年5月6日

主張

裁量労働制の拡大
「働かせ放題」への逆行許すな

 高市早苗首相の肝いりで裁量労働制の拡大が狙われています。“定額働かせ放題”のこの働き方は長時間労働や過労死の温床になっています。労働時間の短縮こそ日本と世界の流れです。逆行を許してはなりません。

■時間規制を形骸化

 仕事の進め方を「労働者の裁量に委ねる必要がある」と労使が認めた業務に従事する労働者に適用されるのが裁量労働制です。何時間働こうと残業代は払われず、あらかじめ決めた「みなし」の労働時間分しか賃金が支払われない異常な制度です。実際には裁量どころか、膨大な業務を、納期など決められた期間内に遂行しなければならず長時間労働を強いられています。

 現行では適用できる業務が限定されていますが、経団連は、労働者に裁量がない業務にも適用を認めるよう法改定を求め、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会で議論されています。労働者側委員は反対し、公益委員からも必要性を疑問視する意見が出ています。

 裁量労働制の拡大は、政府の日本成長戦略本部の労働市場改革分科会(会長・上野賢一郎厚労相)でも議論されています。この分科会は、労使同数を求める国際原則に反し使用者側5人に対し労働者側は1人しかいません。6月にとりまとめる予定の成長戦略で労政審の議論を無視して、トップダウンで押しつけられようとしています。

 労働時間の規制緩和は、高市首相の持論です。就任直後、厚労相に指示を出したことで一気に加速しました。

 「残業代が減ったことによって生活費を稼ぐために無理をして慣れない副業をすることで健康を損ねる方が出ることも心配している」(2025年11月5日衆院本会議)と首相は述べます。労働者の暮らしを考えるかのような発言の裏に、8時間労働制など労働時間規制を形骸化するたくらみが見え透いています。

 残業しなくても生活できる賃金が労働者の願いであり、その実現が政府の役目です。高市政権はこれまでの政権がまがりなりにも掲げてきた最低賃金時給1500円の目標すら投げ捨てています。

■賃上げ時短一体に

 日本の労働者の労働時間は欧州諸国に比べ年間300時間程度も長く、過労死が後を絶ちません。今でも残業時間の上限は労使協定によって、月100時間未満、2~6カ月平均で月80時間と過労死ラインが容認されています。裁量労働制の拡大は長時間労働を野放しにします。

 裁量労働制は抜本的に見直さなければなりません。企画の立案などにあたるホワイトカラー労働者を際限ない長時間労働に追い込む「企画業務型」は廃止すべきです。情報処理システムの設計など20業務が対象の「専門業務型」についても、真に専門的な業務に限定し要件と運用を厳格化すべきです。

 日本共産党は、賃上げと一体に「1日7時間、週35時間制」の社会へ進むことを国の目標に据えることを提案しています。残業時間の上限は例外なく「週15時間、月45時間、年360時間」に規制する必要があります。