(写真)握手するハートマン教授(左)と志位議長=1日、シカゴ市内(遠藤誠二撮影)
【シカゴ=遠藤誠二】訪米中の日本共産党の志位和夫議長は1日、シカゴ市内で、米国のマルクス主義研究者・アンドリュー・ハートマン・イリノイ大学教授と会談しました。両者は、『英語版・自由に処分できる時間と資本論』(志位氏)、『カール・マルクス・イン・アメリカ』(ハートマン氏)の著作をもとに、マルクスの社会主義・共産主義論、アメリカにおけるマルクス主義の歴史、現在のアメリカ左翼進歩勢力の動向、日本の政治の現状と日本共産党のたたかいなど多岐にわたる問題で意見を交わしました。
志位氏は、「140年前にシカゴで始まったメーデーのその日にお会いできるのは歴史的です」と述べ、シカゴでの出会いをお互いに喜び合いました。資本主義の「総本山」と言われるアメリカで、マルクスが150年余りにわたって読み継がれ、受容され、影響力を与え続けてきたことを、歴史的事実を丁寧に紡ぐように明らかにしたハートマン氏の著作の日本語版が近く公刊(新日本出版社)されることについて、「日本国民にアメリカに対する新しい見方を提供するものになると思います」と強調しました。
志位氏はまた、「ハートマン氏が著作のなかで、『マルクスが米国で受容されてきたのは、彼が力強い自由論を明らかにしたからだ』とのべていることに注目しました」とのべ、「『マルクスと自由は相いれない』という議論は、アメリカでも日本でも強いと思います。しかし仮にそうならどうして歴史上初めて、民主共和制を打ち立て人権宣言を行ったこの地でマルクスが受容されたのかが説明つきません。マルクスが150年以上にわたって米国で受容されてきた事実そのものが、『マルクスと自由は相いれない』という議論への一番の反論になっていると思います」とのべました。
志位氏が、「マルクスは、『自由に処分できる時間』が真の富だという考えを未来社会論の根幹にすえました」とのべると、ハートマン氏は、志位氏の英語版の著作を読んだとのべ、「全く同意します。マルクスは未来社会の青写真を示したわけではありませんが、資本主義の分析や批判という意味で見れば、自分でコントロールできる時間や、労働などが理論の核心にあることは、その通りです」と語りました。
志位氏は「若いみなさんに、『搾取によって奪われているのは「モノ」や「カネ」だけではなく「自由な時間」が奪われている、だから力を合わせてたたかって「自由な時間」を取り戻そう』と訴えています」と語ると、ハートマン氏は「(『自由な時間』の意義は)マルクスの分析として正しいというだけではなく、多くの若い人々にとって共感できるものです」と強調しました。
志位氏は、著書のなかで心が引かれたことの一つは、リンカーン(16代アメリカ大統領)とマルクスの関係ですと語り、「リンカーンがマルクス・エンゲルスの書いた『トリビューン』記事の熱心な読者だったということは間違いありません」と指摘。ハートマン氏は、「マルクスの共産主義とアメリカの共和主義というのは、ある意味、アメリカで初めての理論的な統一戦線だったかもしれません」と語りました。志位氏は、「私もそう思う」と応じ、さらに、現代の日本でも、「マルクス・ブーム」をつくっていくための理論的な統一戦線をつくる努力をしていると語ると、ハートマン氏は「とてもいいことです」と応じました。志位氏は、マルクスの書いた論説、そして『資本論』にも書き込まれた言葉で素晴らしいのは、「奴隷解放と米国の労働者、さらにはヨーロッパの労働者の解放は一体だという立場だと思う」とのべました。論説は南北戦争に影響を与え、『資本論』を豊かにすることにもなったと強調しました。
志位、ハートマン両氏は、日本共産党とDSA(米民主的社会主義者)、左翼誌『ジャコバン』などについても語り合いました。
両氏は、この出会いを契機として、オンライン等も含め、理論交流を続けることで合意しました。

