日本共産党

メニューとじる

すべての記事が読める

赤旗電子版購読お申し込み

2026年5月1日

きょうの潮流

 日常のなかの異様な風景、無言で訴えかける被害者の表情、立ち上がる住民たちの鬼気迫る様子。一枚一枚の写真から悲しみや怒りが時をこえて迫ってきます▼水俣病の被害を世界に伝えた報道写真家ユージン・スミスの作品展が東京都写真美術館で開かれています。米軍の従軍記者だったユージンは戦後、水俣の取材を知人から進められ、妻のアイリーンさんとともに来日。水俣に3年間滞在し、そこでの生活に溶け込みました▼写真は小さな声だが、その現実の断片が人びとの意識を動かし、社会の変化を促すこともある。ユージンは水俣病を通して公害の恐ろしさ、人間が人間のありようを破壊する罪深さを映し出そうとしました▼公害の原点とされる水俣病が公式確認されてからきょうで70年。そのきっかけのひとりとなった田中実子(じつこ)さんは24時間の介護がなければ生きられませんでした。ユージンが撮った写真も、ことばを発することができない実子さんの感情を引き出したいと何度も撮影を繰り返した末に一瞬の表情をとらえた作品です▼線引きや未認定によって救われない被害者は現在も。救済の枠外に置かれている人たちからは助けを求める声があがり続けています。胎内にいるときに毒性にさらされた坂本しのぶさんも「70年たっても何も終わっとらんなあ」と▼「弾圧を受け、虐げられてきた患者たちが闘ってきたからこそ守られた権利や今の環境がある」というアイリーンさん。それが公害のない社会につながることを信じて。