政府は29日、高市早苗首相を式典委員長とした「昭和百年記念式典」を開きます。
「昭和100年」関連施策の「基本的な考え方」の中で、政府は、「昭和の時代は、未曽有の激動と変革、苦難と復興の時代であった」とし、「昭和を顧み、先人の躍動に学び、昭和の記憶を共有することは…未来を切り拓(ひら)く機会になる」と位置づけています。
■ふたつの政治体制
しかし、侵略戦争の時代と戦後の時代を「昭和100年」とひとくくりにして記念するわけにはいきません。
侵略戦争の痛苦の歴史が刻まれた「昭和100年」は、戦前と戦後、ふたつの政治体制を経験しました。
天皇を絶対とする専制政治から国民主権の政治体制に変わりました。その違いは、日本国民にとっても、国際社会にとっても決定的です。
その変化の象徴が日本国憲法です。
国民主権、戦争の放棄、基本的人権の尊重、国権の最高機関としての国会の地位、地方自治など民主的平和的な条項を定めました。そのもとで、国民はさまざまなたたかいを経験しながら、くらしと平和、民主主義、人権を守り、発展させてきました。
いま歴史から学ぶべきは、先の戦争が侵略戦争であったとの認識を明確にし、誤りを繰り返さない決意を共有することです。その意思のもと戦後、植民地が独立するなど大きな進歩をみせている世界で「国際平和を誠実に希求」(憲法第9条)し、その先頭に立つことです。
政府の「基本的な考え方」にも、「進むべき針路を誤って戦争への道を進み、先の大戦で多くの人々が犠牲になった」とし、「平和の誓いを継承」するという記述があります。しかし、その誤りがどんなものであるか、肝心なことが語られません。
何よりも問われなければならないのは、歴代自民党政府、なかでも高市氏自身が侵略戦争だという認識と反省がないことです。先の戦争について「私自身は…反省なんかしておりませんし、反省を求められるいわれもないと思っております」(1995年、衆院外務委員会)と言い放ったことでもあきらかです。
高市氏は首相就任後、自身の歴史認識を多くの場面で封印していますが、侵略戦争を美化してきた発言をいっさい撤回していません。
■歴史に学び生かす
憲法を目の敵にし、「『占領下で他国の関与を受けて制定された現行憲法に代わる新しい日本国憲法を作ること』が政治家としての自分の最後の仕事」(2012年8月15日コラム)と語っていました。
そしていま、首相として施政方針演説で「国会における発議が早期に実現されること」をよびかけ、憲法改悪を現実の政治課題に乗せようとしています。歴史に学ばず、再び日本を戦争に追いやる道にほかなりません。
侵略戦争と暗黒の時代を乗り越え、平和、国民主権、人権をうち立てた憲法。その憲法を打ち砕こうとする高市政権の企てを阻止し、9条をはじめ憲法を守り、生かすことの大切さを「昭和100年」の歴史は教えています。

