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2026年4月27日

きょうの潮流

 物はあっても持ち主はいない、風景はあってもそこに人はいない、行きつくあてのない道や電線…。なによりも印象に残っているのは「すべてが終わった」あとの現実だった―▼旧ソ連のチェルノブイリ(現ウクライナ・チョルノービリ)で起きた、史上最悪の原発事故。被災した人びとの声を聞き取り、記録したノーベル賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著『チェルノブイリの祈り』は人間の想像をこえた巨大な惨事の恐ろしさを伝え続けています▼きょうで事故から40年になりますが、放射性物質による汚染は今も残り、周囲30キロ圏は立ち入りが禁止されています。故郷を追われ人生を丸ごと失った苦悩や絶望は置き去りにされ、進行形の健康被害の全容は不明のままです▼40年という年月は国と東電が掲げた福島第1原発の廃炉完了までの期間と同じです。その福島では、事故から15年がたっても故郷に帰れない人が5万人をこえていることが本紙の調べでわかりました。被害を小さく見せようとする国や県の発表。それは復興の妨げにも▼現在も避難指示が続く区域は7市町村、およそ3万ヘクタールにも及んでいます。さらに汚染水の問題や除染土などの中間貯蔵施設の先行きも解決されないままです▼事故の終わりも、廃炉の見通しもたたないなかで、高市首相は原発再稼働を加速するといいます。安全を投げ捨てて。人類が対処できない実態を拾ってきたノーベル賞作家は訴えます。原発事故は過去のことではなく、未来の問題だと。