外国人の在留許可手数料の大幅な引き上げを柱とする入管法改定案が、日本で生きる外国人労働者や難民申請者に強い不安を与えています。支援団体や日弁連からも「困窮を強い、かえって非正規滞在者を増やしかねない」と批判の声が上がっています。
日本に住む外国籍の人は、永住権を得た人と特別永住者(終戦後に日本国籍を失った旧植民地出身者と子孫)を除き、在留資格が6カ月なら6カ月ごと、1年なら1年ごとに資格更新の必要があり、その際、手数料がかかります。
法案は、日本で暮らすのに欠かせない在留資格の維持費用を、まともな必要性も示さず急激に引き上げるものです。24日、衆院法務委員会で可決されましたが、参院で審議を尽くし廃案にすべきです。
■深刻な打撃与える
法案は手数料の上限を、在留期間更新や在留資格変更では1人につき1万円を10万円に引き上げ、永住許可は1万円を30万円に上げます。
実際の額は政令で決まり、現在、手続きの実費分として更新や変更は6千円、永住許可は1万円です。入管庁は、法改定後は在留期間に応じ3カ月以下は1万円、1年は3万円、5年は7万円、永住許可は20万円程度になるとします。
収入が低いほど1回の更新で得られる在留期間が短いといわれ、4人家族で1年ごとに更新となる場合、現行の2万4千円が12万円に跳ね上がり、それを毎年払い続けなければなりません。
過度な負担による生活への打撃は深刻で、払えなければ非正規滞在となってしまい、政府の掲げる「不法滞在者ゼロ」にも逆行します。外国籍者の法的地位を不安定にし、金銭的に在留資格を奪い追い出す手段になりかねません。
難民申請者にとっても重大です。難民支援協会によれば、難民申請者の大半は申請後8カ月間で4人家族なら現行でも9万6千円必要で野宿を強いられる人もいます。改定後はそれが18万円~20万円程度になると想定されます。
■正当な必要性なく
政府は引き上げの理由を、「受益者負担」の観点から外国人受け入れ環境整備の費用を外国人に求めるとします。しかし、外国人労働者はいまや日本社会を支えており、環境整備は社会全体の利益であり、責任です。
負担増による増収は他の財源にも使われると報じられています。また、日本で生まれ育った人にも受け入れ整備の負担を課すことになり不合理です。正当な必要性も示されないまま、選挙権をもたない外国籍者を標的にした理不尽な負担の押し付けです。
手数料は上限の範囲内でいつでも政令で引き上げられます。憲法は、新たに税金を課すなどのときは法律によると定めます。外国籍者にとって税金にも等しい負担を国会にも諮らず、行政の裁量にゆだねるのは問題です。
また、難民申請中の人を滞在させるのは、難民保護を定めた難民条約に加入する日本の国際的な責任です。
資力の有無によって外国籍者の生活や法的地位を脅かし、「金のない者は出ていけ」と言わんばかりの法案を許してはなりません。

