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2026年4月25日

主張

食糧法改定案
米の安定供給に政府は責任を

 高市早苗政権は今国会に食糧法(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律)の改定案を提出しています。米の生産や安定供給への政府の責任を投げ捨てる内容です。

 改定案は、法の目的を「主要食糧の需給と価格の安定」から「需給の安定を図り、及びこれを通じて価格の安定化を図る」に変えます。価格安定を、目的から実質的に外すものです。すでに政府は「米価の市場任せ」を基本にしてきました。実態にあわせて法律を変えるといいます。

 米の需給調整のあり方も変更します。「需給の安定」のための「生産調整」という記述を削除し、「需要に応じた生産」を法定化します。政府は、現行法は減産を前提にし、改定案は増産を含むかのようにいいますが、需要見込みにあわせて生産を調整する点では同じです。

■農業者に押しつけ

 問題は、現行法で「生産調整の推進」は政府の役割としていたのを、改定案は「需要に応じた生産」に生産者が「主体的に取り組む」と明記されたことです。

 そのうえ、「水田における稲以外の生産振興」も政府の役割から削除しています。来年から実施するとしている水田転作への交付金廃止と一体です。政府による需給調整は放棄され、暴落が怖ければ主体的に減産せよと農業者に米価安定の全責任を押しつけるものです。しかし、全国的な需給調整は政府の関与なしには不可能です。需給の不安定化は必至です。

 米の需給が安定すれば米価も安定するという議論もすでに破綻しています。この30年「需要に応じた生産」の名で生産調整が続いてきたにもかかわらず、米価が長期低落を続け大多数の米農家が赤字を強いられてきたのが現実です。

■備蓄でも役割後退

 改定案は、政府の役割とされてきた米の備蓄制度も見直し、民間備蓄制度を創設します。従来を上回る民間在庫が米価下落の要因にならないか、在庫保有の負担や過剰時の処理がどうなるかなどについて関係者から危惧が出されています。

 政府備蓄の縮小と民間備蓄の導入は、政府の財政制度審議会が求めてきた備蓄経費の圧縮を優先したもので、主食の安定供給への政府の責任を大きく後退させるものです。

 この間、米の流通実態を的確に把握できなかったとして流通業者の届け出対象を広げます。しかし米流通を全面的に自由化してきたことへの検証と反省を抜きに流通業者に一方的な負担を押しつけても理解は得られないでしょう。

 一昨年来の「米騒動」は歴代政府の米政策の矛盾があらわになったものです。米農家が激減し、大規模経営もその農地を引き受けられず、いまや「需要に応じた生産」さえ危うくなっています。

 いま必要なのは市場任せから、需給と価格の安定に政府が責任を持つ政策への転換です。備蓄を含めゆとりある需給見通しのもと、大多数の農業者が安心して米を生産し、主食用以外の作物を含めた水田農業に励めるよう価格保障や所得補償を抜本的に整え、消費者に手ごろな価格で供給することです。