『漫画 いしぶみ~原爆が落ちてくるとき、ぼくらは空を見ていた』(漫画サメマチオ)が第55回日本漫画家協会賞〈萬画部門〉大賞を受賞しました。原爆の犠牲になった広島二中の1年生323人の命の記録です▼1945年8月6日、核爆弾を搭載しているとも知らず飛行機を見上げていた彼らは、爆心地から500メートルの場所で被爆しました。随所に掲載された遺影は幼く、十二、三歳の子どもだったことを思い知らされます▼全身にやけどを負った子どもたちは、飛び込んだ川からはい上がり、親に会いたい一心で歩き出しました。親たちも、わが子を捜しに猛火の市内をめざしました。彼らがどこで力尽きたのか。漫画は一人一人の足取りを遺族の手記と証言をもとに忠実に再現しました▼原点は69年に広島テレビが制作・放送した番組「碑(いしぶみ)」。二中の卒業生で彼らの先輩にあたるプロデューサーらが遺族に調査票を送り、計226人から貴重な証言を得たことが始まりです。それから56年。番組は書籍、映画と姿を変えながら受け継がれてきました。「原爆体験の伝承は社是」と、漫画化を企画した佐藤宏・広島テレビ取締役▼核兵器がいかに非人道的か。トランプ米大統領に追随し非核三原則を見直そうとする高市早苗首相には、ぜひ本書を手に取っていただきたい▼27日からは国連でNPT(核不拡散条約)再検討会議が始まります。唯一の戦争被爆国・日本は核兵器廃絶に向けた姿勢を示せるのか。世界が厳しく見守っています。
2026年4月24日

