目にすると思わず、手にとって触れたくなる編み物。人のぬくもりが込められているからでしょうか。ふんわりと柔らかな気持ちになりました▼高齢者や手の不自由な人でも編み物ができる、ユニバーサルかぎ針を開発した平田のぶ子さん。編み物のある風景の中で育ち、小学生のころから編み続けてきました。もう一度編みたい、という気持ちに応えて生まれた道具でした▼編み物ができなくなった家族が少しでも楽しく過ごせるようにと、手ほどきを依頼されることも。「でも、私が片方の手を援助して編むよりも、自分の力で作る方が楽しみになると思いました」。編み針を弓形の太いグリップに差し込み、少しの力で握れるようバンドで固定。その手がうまく動かせなくても、もう一方の手を使えば編み進めることができます▼発案から実用化までたくさんのハードルがありました。平田さんにとってはもちろん初めての試みでしたが、編み物で広がった人の輪に助けられて製品化できました▼看護師として働いた知識も生きています。最初は安いゴムバンドを使っていましたが、長時間使うときつい。代わりに止血帯のバンドをと思いついたのも、医療や看護の知識があったから。何より「課題を見つけたら、どうすれば快適に過ごせるか考える」という姿勢そのものが、看護師経験に裏打ちされていました▼新型コロナの流行時も、感染予防策を講じながら開き続けた編み物教室。今日も、手を動かしながらのおしゃべりに花が咲きます。
2026年4月23日

