日本共産党

メニューとじる

すべての記事が読める

赤旗電子版購読お申し込み

2026年4月22日

米軍が気候危機加速

昨年6月のイラン攻撃 CO2、乗用車4300台分

 2月28日から開始されたアメリカとイスラエルによるイランへの爆撃で、ホルムズ海峡の事実上の閉鎖が続いています。この爆撃に先立ってトランプ政権は2025年6月、「イランの核の脅威阻止」を名目に、イラン本土への直接攻撃を行いました。この作戦に投入されたB2爆撃機は、1回の出撃で、控えめに見積もっても乗用車約4300台分の年間CO2排出量に匹敵する量を排出したことが本紙の試算でわかりました。

本紙が試算

 昨年6月の攻撃は「イランの核の脅威阻止」を口実とした「ミッドナイトハンマー(真夜中の鉄つい)」という作戦です。おとりを含め13機のB2爆撃機が出撃しました。米空軍公式資料をもとに推計すると、B2爆撃機はわずか1機の出撃で、普通乗用車約330台分のCO2年間排出量に匹敵するCO2を排出します。13機分のCO2排出量の総量は乗用車4290台分に迫り、人口1万人規模の都市が1年間に使用する自動車が排出するCO2を、たった一度の軍事作戦で排出したことになります。

 米軍による気候危機加速はB2爆撃機だけではありません。米国のシンクタンクの政策研究所(IPS)傘下の「国家予算優先順位プロジェクト」によると、「B52戦略爆撃機は、1時間に消費する燃料が、平均的な自動車ドライバーの7年分に相当する」としています。米軍は大量の温室効果ガスを排出しており、「スウェーデン、デンマーク、ポルトガルといった先進工業国全体の排出量よりも多い」とされます。爆撃は軍事拠点や民間施設を破壊するだけでなく、気候そのものも破壊しているのです。

 科学誌『ネイチャー』(2022年11月3日号)は、米軍の1人当たり温室効果ガス排出量がCO2換算で42トンに達し、世界最高水準であると指摘しています。

平和の海峡へ転換

 米国による対イラン攻撃は、世界の原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡の通航を不安定化させ、原油価格の高騰を招いています。B2爆撃機は、2月28日から開始された「壮絶な怒り」作戦にも参加しています。膨大な石油を消費する軍事行動が、石油供給そのものを脅かす―これが今回の対イラン爆撃において顕在化した構造的矛盾です。

 今、緊急に必要なことは、ホルムズ海峡を軍事的対立の戦火の発火点とするのではなく、国際協調による「平和の海峡」へと転換することです。

B2爆撃機の燃料消費試算

 米空軍公式資料によると、B2爆撃機は巡航の際、1時間あたり5~7トンのジェット燃料を使用します。米本土から中東を攻撃し、米本土に戻る作戦では30~40時間の飛行時間となり、控えめに見積もっても150~200トンのジェット燃料を消費します。

 ジェット燃料1トンは1250リットルです。B2爆撃機がイラン攻撃作戦で170トンのジェット燃料を消費したと仮定すると消費量は21.3万リットルです。

 一方、乗用車(ガソリン車)の燃費は15キロメートル/リットル程度とされ、年間走行距離は平均1万キロメートルです。つまり年間1台あたり平均670リットルのガソリンを消費していることになります。環境省の資料によるとガソリン1リットルあたりのCO2排出量は2.322キログラムです。乗用車(ガソリン車)は年間1.6トン程度のCO2を排出している計算になります。

 ジェット燃料は1リットルあたり2.463キログラムのCO2を排出します。B2爆撃機は昨年6月の作戦で525トンのCO2を排出したことになります。

 525トン(B2爆撃機1機)÷1.6トン(自動車1台)≒330(自動車台分)

 330台×13機(出撃したB2爆撃機)=4290台(自動車台分)

 これらの計算からB2爆撃機は昨年6月の作戦で乗用車330台が1年に排出するCO2に相当する量を排出したことになり、13機では、4290台分になります。

 ただ、B2爆撃機は米本土と中東を往復する間に6~7回の空中補給をしたと報道されており、空中補給機の燃料を考慮するとさらに排出CO2量は増えます。