医師が処方する医療用医薬品のうち市販薬と同等の効能を持つ「OTC類似薬」の患者負担を一部保険外とする仕組みなどを盛り込んだ健康保険法改定案についての質疑が15、17両日、衆院厚生労働委員会で行われました。診療から投薬まで一体で保障する公的保険制度の根幹を揺るがす改悪に批判が集まりました。
負担増へ抜け穴
(写真)質問する辰巳孝太郎議員=15日、衆院厚労委
15日の質疑では、日本共産党の辰巳孝太郎議員がOTC類似薬の患者負担増による財政効果を質問。医療費は約900億円の減、保険料への影響額は1年当たり1人約400円の減とする厚労省の試算に対して、「(1カ月で)うまい棒2本分(30円)くらいの軽減にしかならない」と指摘し、「負担増によって医療機関の受診をあきらめる方も出てくるだろう。重大だ」と批判しました。
他の野党委員も「自己負担が増えると患者が受診をためらってしまうことが起こり得る」「市販薬で代替し、症状が悪化してしまう可能性がある」などと受診抑制を不安視する指摘が相次ぎました。
厚労省の担当者は「薬局などがセルフメディケーション(医師に頼らない自己責任の健康管理)に関する相談や受診勧奨を実施することも大変重要だ」などと答弁。患者の不安に応えるどころか、薬局任せの無責任な姿勢を示しました。
辰巳氏は今回の改定案は「負担増の始まりでしかない」と指摘。条文には「その他の適正な医療」との文言が含まれており、将来的に国会の関与なくOTC類似薬以外の診療や処置、手術など広範な医療行為の保険外し(自己負担増)を可能とする法的な抜け穴がつくられていると追及しました。
厚労省は「現時点でOTC類似薬以外を保険外療養として別途の負担を求めることは想定していない」などと答弁。将来的な見通しには言及を避けました。
公費投入が必要
今回の改定案は、国保の財政安定化基金を保険料の抑制のために取り崩すことを認めています。現行では保険料の収納不足が生じた場合のみ同基金を活用できることになっていますが、改定案ではあらかじめ保険料の抑制のために基金を取り崩せるよう、使途を拡充します。国は都道府県単位の保険料統一を自治体に迫っていますが、そのための保険料上昇を基金の活用で抑制しようというもの。
辰巳氏は、基金の取り崩し分は翌年以降に保険料で返済する仕組みのため、「引き下げ効果は一時的にとどまる」として、返済財源への公費や国庫負担の投入が必要だと追及。都道府県単位の保険料統一をやめるよう求めました。

