衆院内閣委員会で審議されている国家情報会議設置法案に、市民の不安が広がっています。国民監視や人権侵害の危険があるからです。
法案は、政府の情報機関の司令塔機能を強化するとして、「国家情報会議」と「国家情報局」を新設します。
内閣官房長官と関係事務次官級からなる「内閣情報会議」を、首相が議長、関係閣僚が議員を務める「国家情報会議」に、「内閣情報調査室(内調)」を「国家情報局」にそれぞれ格上げします。
この司令塔に、警察庁や外務省、防衛省、公安調査庁などの情報機関に対する「総合調整権」を与え、資料・情報提供を義務づけます。
■スパイ・謀略活動
高市早苗首相は「国家情報局が国民のプライバシー等を無用に侵害するようなことはありません」と言います。しかし、新設機関の役割は、政府によるスパイ活動(重要情報活動)と外国からのスパイ活動(外国情報活動)に対処するための基本方針策定や情報収集・分析です。国のスパイ活動は国民も対象で、人権侵害の拡大は明らかです。
1952年に発足した内調は、これまでも国民監視や謀略的な活動をしてきました。発足前の原案には「調査室の活動の当面の重点目標を共産党及びこれに同調する勢力の(企図、宣伝、運動の)実体を国民の前に暴露することにおく」との記述があります。
「『見えざる手』となって民間の団体及び個人の活動を推進する」とも書かれています。実際、委託団体や委託研究に資金を出し、学者を取り込む活動もしてきました。
米中央情報局(CIA)の招待で内調メンバーが50日間の研修旅行をするなど、当初から根深い関係でした。マスメディアや出版界、政治家に対する情報収集、世論工作、謀略活動をしてきたのです。
警察や防衛省、公安調査庁による情報収集を違法とし、確定した判決もあります。▽公安警察が市民の個人情報を民間企業に提供した大垣警察市民監視事件で収集情報の抹消を命じた名古屋高裁判決▽自衛隊情報保全隊による市民活動の監視・情報収集をプライバシー侵害と認定した仙台高裁判決▽公安調査庁が元同庁職員を24時間体制で監視・尾行した人権侵害を違法とした東京高裁判決―などです。
■民主的規制が必要
違法な市民監視に反省も謝罪もない政府の情報機関に対しては、市民による監視や民主的規制こそ必要です。ところが、法案は、国会や第三者機関によるチェックの仕組みさえ盛り込んでいません。
法案は、自民党と日本維新の会の連立政権合意書にある「スパイ防止関連法制」やCIAにならった「対外情報庁の創設」とセットです。政権合意は、米国とともに戦う大軍拡計画である「安保3文書」の前倒し改定、敵基地攻撃の長射程ミサイル配備の推進も明記しており、「戦争する国づくり」をめざす治安体制の強化が、法案の狙いです。
米国とイスラエルによる国際法違反のイラン攻撃に反対運動が広がる今、反戦の声を抑え込む悪法を通してはなりません。世論を盛り上げ、その力で阻止しましょう。

