一般会計総額122兆円超と過去最大となった2026年度予算が成立しました。予算成立が4月にずれ込むのは11年ぶりです。高市早苗首相の衆院解散・総選挙によって年度内成立は不可能だったにもかかわらず、与党は衆院の圧倒的多数の議席を盾に強引な審議を進めました。
巨大与党のもとで行われた予算審議で浮き彫りになったのは、国会を軽視する高市政権の強権姿勢です。多くの意見に耳を傾け、議論を尽くし、政策に反映させて、合意をえるのが議会制民主主義のあるべき姿です。しかし、高市首相はその努力をはなから放棄しています。
■短い首相出席審議
衆院は「数の力」で最短通過させたものの、与党が過半数を持たない参院では、思惑通りに審議が進みません。高市首相は最後まで予算の「年度内成立」に固執し続けましたが、結局、予算成立までの「つなぎ」となる暫定予算案の閣議決定を余儀なくされました。
しかし、高市首相に反省はありません。参院でも首相出席の予算の集中審議はわずか10時間程度しか行われていません。計24~40時間応じていたとされる菅義偉、岸田文雄、石破茂の歴代首相と比べても、その短さが際立っています。にもかかわらず、それを批判されると、自身のX(旧ツイッター)で「私が参院予算委員会の集中審議に応じない意向を示していたとの報道は、全く事実ではない」と一方的に発信しました。
国際情勢は緊迫しています。米国とイスラエルが国連憲章、国際法を無視してイランを攻撃したことで、イランは海上の要衝のホルムズ海峡を事実上、封鎖。米国とイランは即時停戦で合意しましたが、恒久的な終結につながるかは予断を許しません。
■国会軽視を改めよ
成立した新年度予算にはイラン攻撃を受けた物価高対策などは含まれていません。参院予算委員会では、補正予算の編成を求める声も出されましたが、高市首相は「その手は桑名の焼きはまぐりでございます」とちゃかすような答弁をして、国会を軽んじる姿勢を見せつけました。
国民の間には、原油価格の高騰や供給不足を懸念する声があふれています。農業、漁業、小売業をはじめあらゆる分野で不安が広がり、医療現場では、プラスチックなど石油化学製品の原料ナフサの供給がひっ迫して、手袋や点滴用チューブなどの価格上昇が起こりはじめています。中小企業に与える影響や医療現場の実態をきちんとつかみ、緊急に対策と支援を検討する必要があります。
後半国会では、政府のインテリジェンス(情報活動)の司令塔機能を強化する「国家情報会議」設置法案など、高市首相が「国論を二分」する政策と位置づける法案の審議が本格化します。
高市首相が、国会を軽視する独断専行の強権姿勢を改めなければ、国民との亀裂は深まります。幅広い国民の合意をえるためには、Xなどでの一方的な発信ではなく、国会での野党との議論を通じて、きちんと説明責任を果たすことこそ必要です。

