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2026年4月8日

主張

中国大使館侵入
世界に通用しない政府の姿勢

 現役の幹部自衛官が刃物を持って在日中国大使館に侵入する、国際条約に反する重大事件が起きました。

 ところが政府は「謝罪」せず、「遺憾」を表明するだけという国際的にも通用しない対応に終始しています。そのために日中関係をさらに険悪化させるあらたな懸案となっています。政府に道理ある対応を求めます。

■背景に対中姿勢が

 事件が起きたのは3月24日。中国大使館に侵入したのは、陸上自衛隊えびの駐屯地(宮崎県)の3等陸尉で、警察に「中国に強硬発言を控えてほしかった。大使に意見し受け入れなかったなら自決するつもりだった」と供述しているといいます。

 木原稔官房長官は事件の翌日になって、「法を順守するべき自衛官が建造物侵入の容疑で逮捕されたことは誠に遺憾だ」と述べ、小泉進次郎防衛相は27日になってはじめて事件に言及、「誠に遺憾」としました。

 日本側は動機などいっさい明らかにしていません。中国外務省は「日本側は『誠に遺憾だ』と言っているが、まったく不十分」「自衛官の管理と教育も、大使館や外交官の安全確保もできていなかった」と反発しています。

 ことの深刻さは、北京の日本大使館に中国軍幹部が侵入したケースを想像すれば明らかです。

 外交関係に関するウィーン条約で、外国公館は「不可侵」とされ、接受国は大使館への侵入や損壊を防止し、外交官の安全を守る義務を負っています。日本側に落ち度があったことは明らかであり、謝罪し、無用な緊張を避け、再発防止策を講じるのが当たり前です。

 それにもかかわらず、なぜ政府はかたくなに謝罪表明を避けるのか。その背景に高市早苗政権の対中強硬姿勢があることは否めないでしょう。「潔さを欠く対応は『台湾有事』答弁で悪化した日中関係の延長線上にある」(「朝日」社説)という指摘も当然です。

 今回の事件は特異な個人が起こしたとすませられない性格の問題です。

■動機解明し防止を

 そもそも事件は、高市首相や右派メディアなどが中国脅威をあおり、自衛隊が中国軍を相手に想定した演習をくりかえすなかで起きたのです。事件の動機、背景の解明が不可欠です。

 「政治的中立や規律などの隊員教育に不備、偏りがなかったか」(「毎日」社説)との指摘も多く、自衛隊のあり方も問われています。

 陸上自衛隊の部隊が公式に「大東亜戦争」という表現を使用したり、陸上自衛隊、海上自衛隊の幹部が靖国神社に集団参拝して問題になったのも記憶に新しいところです。

 自衛隊の教育実態を告発した等松春夫防衛大教授は「(自衛隊の)高い地位にあり、影響力がある人たちが、とりわけ歴史や政治について基本的な知識や良識に乏しいことが非常に危険だと痛感しています」(「毎日」25年3月4日付)と危惧していました。

 政府は国際ルールにもとづいて謝罪するとともに、事件の動機、背景を解明し、再発防止に万全を期すべきです。