8日に国会前で開かれる平和憲法を守るための緊急アクションに呼応し、全国47都道府県、79カ所(5日正午時点。別日開催含む)で連帯行動が開催されます。居住地でデモに参加したい市民の案内役となっているのが、全国のデモ開催情報を集めた「デモカレンダー」です。サイトを運営するルーシーさん(38)=九州在住=に立ち上げた動機や市民運動への思いを聞きました。(古荘智子)
数年前まで選挙に行ったり行かなかったりの無党派層で、あまり政治に興味がありませんでした。憲法を空気みたいに特別意識することもなく過ごしてきました。
自民党が個人の尊厳や基本的人権を後退させる改憲案を出しているのはネットで知っていました。総選挙で自民党圧勝が報じられ、改憲案が具体化するのではないか、夫や私や一般市民が兵役に取られるのではとおびえ、絶望しました。
でもまだ何も起きていない。何もしなければ本当に終わりだと思い直しました。2015年の安保法制反対の運動のとき“デモ情報まとめサイトがあった”というXの投稿を見て衝動に駆られ、AIの補助を使いながら数時間でサイトを完成させ公開しました。2月22日の市民連合のデモに間に合わせたかったのです。
仲間が増え
(写真)平和憲法を守る緊急アクションに連帯し声を上げる参加者=3月25日、福岡市中央区天神
サイトには、デモに参加できる人が押せる「行きます」ボタンと、行けないけど連帯する気持ちを表示する「応援してます」ボタンを備えました。今までのデモ情報サイトにはなかった機能です。「行きます」は、自分が1人でデモに行くことを考えた時に「ほかに来る人がいるかな?」と不安になるので、初めてデモに参加する人の背中を押せたらと思いました。
Xに載せたらフォロワー十数人なのに一気に5万インプレッションを超え、デモに「行きます」ボタンを押した人が1日で約250人に。「行きます」の人数を見て参加を決めたと声が寄せられ、声を上げたい人にデモカレンダーが必要とされていたことが数字として実感できた瞬間でした。
2万4千人が参加した3月25日夜の国会前緊急アクションでは、「応援」が3023人に上りました。
3月初旬、島根の原発ゼロ集会のチラシがメールで届きました。情報掲載はウェブサイトやSNSを条件としていますがこの主催者にはなく、紙の情報がはじかれることになります。例外的に載せましたが、デジタル化されていない声をどう拾うか、デジタル民主主義をどうするかは課題です。
ウェブのプログラミングは独学で覚えました。当初は極左団体があることすら知らず、指摘を受けて調べ掲載基準を作りました。政治や社会運動に詳しくない素人なので日々学びながらサイトを改良しています。
3月、自分がサイトに載せた情報を見て人生初のデモに参加しました。「デモカレンダーを見た」という人に出会って感激し、初めて会った仲間とカフェで思いを共有しました。“一歩踏み出せば仲間が増えていく”なんて物語の中の話だと思っていましたが、現実にあって驚いています。
諦めず動く
(写真)3月25日の国会前緊急アクションを応援する人たちのイメージグラフィック
高市政権が代わっても権力監視や市民運動は続きます。運動に参加しやすくするためサイトをアップデートするアイデアが止まりません。主催者のプロフィールページを作り、過去のデモ開催が見られるようにしたい。市民社会の実像を海外に広げるメディアとして英語でも発信しています。
共産党について調べたら、ずっと一貫して戦争反対を訴えてきたことが分かり、しっかり地に足の着いた政党だと思いました。自民党が大勝した恐怖のなかで、自分にどんな行動ができるか分からず、ひとまず応援の気持ちで2月から「しんぶん赤旗」日曜版電子版を購読しています。紙面で東京や各地のデモの様子が紹介され、改めて声を上げる大事さが伝わりました。
私のように絶望する人がいたら、どうか力を奪われないでほしい。諦めず動こうとする人をデモカレンダーで可視化し、「1人じゃない」という勇気につながればと願っています。
「応援してます」1カ月半で26万人超
デモカレンダーは反戦、平和、改憲反対、反原発、人権に関するデモや集会情報を掲載。サイトの情報提供フォームやメールで送られた開催内容をAIと人のダブルチェックで確認します。参加者が詳細を確認できるように公式サイトやSNSのURLを条件としますが、バナーやチラシ画像の提供による依頼もOK。個人で運営しており、依頼から掲載まで時間がかかる場合があります。
サイトは地域別や日付別、全国マップで、住んでいる地域の近くで開かれるデモや定期的なスタンディング行動などが確認できます。「今日時間があるけど何かやってるかな?」と情報をチェックし、1人でも気軽に参加してもらうのがねらいです。Xでシェアするほか、イベント掲載ページのタイトル横にあるクリップの印をクリックすると、リンクをコピーして情報拡散することができます。
2月21日にサイトを公開し、約1カ月半でデモに「行きます」のボタンを押した累計参加者は1万7538人、「応援してます」は26万3716人(5日正午時点)。主催者から「デモカレンダーを見て来てくださった方多かったです」、参加者からは「地方在住なので、少ない参加機会を逃さずキャッチできるサイト本当に助かっています」「応援ボタンサイコー」などの感謝が寄せられています。

