4月から、子ども・子育て支援金制度が始まりました。「子ども・子育て政策の強化」のためとして、すべての公的医療保険加入者から保険料に上乗せして「支援金」が徴収されます。
全世代が子育て世帯を支える「分かち合い・連帯の新しい仕組み」という看板で2024年に自公政権が成立させました。今年度の徴収額は総額で約6千億円、27年度は8千億円、28年度には1兆円と段階的に引き上げられます。
■医療保険に上乗せ
上乗せされる保険料の額は、健保組合か国保かなど加入する保険によって異なりますが、平均で加入者1人当たり、今年度は年3000円(月250円)、28年度には年5400円(月450円)に上がります。実質的増税です。加入する保険によって負担額が違うことから、収入の少ない人が多い人より負担が増えることも起こり得ます。
子育て支援金は、社会保険の対象ではない子育て支援の財源を税金で賄うのでなく、医療保険に上乗せして徴収する“禁じ手”です。“取りやすいところから取る”やり方です。
今回実施された支援金で行われる子育て支援の中身は、抜本的な施策にはほど遠いものです。子育て支援を拡充しようとすれば保険料を上げることが求められ、その範囲内でしか支援策ができないともなりかねません。
医療保険への上乗せが前例とされれば、障害者福祉など医療と関係のない他の施策にも保険料の目的外使用が広がる恐れがあります。
一方、高市早苗・自維政権は「現役世代の保険料を下げる」として、医療制度の改悪を強行しようとしています。
現在、参院で審議中の26年度予算案には、がんや難病患者の受診抑制を招き、「命の沙汰も金次第」をもたらす高額療養費制度の負担上限引き上げが盛り込まれています。
今国会に提出された健康保険法改定案には、医療機関で処方された薬に類似の市販薬がある場合、薬(OTC類似薬)代の一部を保険適用外にし、患者負担を大幅に増やす改悪が含まれています。
医療制度の改悪で軽減される加入者1人当たりの保険料は、高額療養費制度改悪で月約120円、OTC類似薬の負担増で月約30円、合わせても月150円にすぎません。「ペットボトル1本分の保険料軽減と引き換えに患者の命を削る大改悪」(日本共産党の辰巳孝太郎衆院議員)です。
そのうえ、子育て支援金が上乗せされるため、保険料は下がるどころか上がります。
■社会保障抑制路線
子育て支援に抜本的に税金を投入するのではなく、医療保険料の上乗せ徴収という姑息(こそく)な手段をとるのは、社会保障予算を抑制し、軍事費と特定大企業へのバラマキに税金をつぎ込むのが自民党政治の根本姿勢だからです。
医療制度の改悪も同根です。「社会保険料を下げる改革」と称し、わずかな保険料軽減と引き換えに国民のセーフティーネットをずたずたにし、命を脅かす―。自民党政治の根本を変えなければ、子育て支援の拡充も国民医療を守ることもできません。

