日本企業の配当と自社株買いによる株主への分配は年39兆円を超え、株主至上主義に拍車がかかっています。「富の一極集中」をただすことが、国民生活向上のために不可欠の課題となっています。
日本の上場企業の自社株買い実施金額は2025年度に過去最多の18兆4488億円にのぼり、自社株買いが解禁された02年度の2兆8841億円と比べて15兆5647億円(539・7%)も増えました(グラフ)。24年度と比べても2兆2939億円増えました。データベース会社アイ・エヌ情報センターの集計で2日に判明しました。
企業が自社の株式を公開市場から買い戻す自社株買いは、株価をつり上げ、株主の売買差益を増大させる目的で行われます。自社株買いに使われた資金の多くは内部留保から出たと考えられ、賃上げや中小企業との取引価格の引き上げ、設備投資などに使えたはずのものです。
自社株買い実施金額18兆4488億円(25年度)を、仮に全就業者6828万人(25年平均)の賃上げにあてたとすると、1人あたり年27万円の規模となります。上場企業の自社株買いの急増は、取引企業社員を含む多くの労働者の犠牲の上に、株式を大量保有する富裕層の富を積み上げていることを意味します。企業経営者の多くは巨額の株式報酬を受け取り、自ら自社の株主となっています。
さらに自社株買いと配当(24年度までの法人企業統計)の合計額は、02年度の9兆3934億円から24年度の56兆2295億円へ、46兆8361億円(498%)も増えました。
株主還元 消費税の1.2倍
法人企業統計の配当金には非上場子会社から親企業への配当金も含まれるため、全部が直接投資家に渡るわけではありませんが、非上場企業を除いた上場企業の配当だけでも24年度は23兆円です(東証「決算短信集計結果」)。自社株買いを合わせた24年度の株主還元の総額は39兆円にもなります。これは24年度の消費税収(国・地方)31・9兆円の1・2倍に相当し、就業者(24年平均)1人あたりでは約58万円です。
株主への分配の原資となる上場企業の税引き後利益を増大させたのは、法人税減税と人件費抑制(社会保障改悪や非正規雇用拡大)を進めた自民党政治です。株主優位の企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)や株式報酬を推進し、企業経営を株主優先へと誘導したのも自民党政治です。
労働者から大株主へ富を大規模に移転させた株主至上主義の政治を転換し、「労働者がつくりだした富を労働者の手にとりもどす」立場で民主的規制や課税を行ってこそ、賃上げと労働時間短縮、消費税減税、社会保障と教育の充実が実現します。
株式報酬
企業役員などを株主の立場に立たせるため、報酬として自社の株式を渡す制度。

