国権の最高機関、言論の府である国会で、質問に立った日本共産党の辰巳孝太郎衆院議員に「共産党」「スパイ」という卑劣なヤジが浴びせられました。言論を封殺する暴挙で、議会制民主主義の根幹にかかわる重大な問題です。辰巳氏は「謝罪と撤回」を強く要求しています。ヤジといって看過してはなりません。
■「軍拡増税」を追及
問題のヤジが発せられたのは3月12日、辰巳氏が予算委員会で「軍拡増税」を追及しているときのことです。高市早苗政権のすすめる戦争国家づくり、「軍拡増税」を追及する質問者に向けられたのは偶然ではありません。
翌日の委員会で辰巳氏は、「日本共産党は戦前、唯一侵略戦争に反対した党だ。治安維持法のもと、侵略戦争に反対する市民や学者、宗教者、日本共産党などが特高警察などからスパイ呼ばわりされ、逮捕され、拷問を受け、命を奪われた」と指摘、「平和憲法のもとでの国会は、この不規則発言を看過すべきでない」と訴えました。
問題の重要性を指摘する声は党派の違いをこえて、広がっています。
中道改革連合の小川淳也代表は「ヤジの許容限度を超えている。人権侵害も甚だしい」と批判、社民党のラサール石井副党首は「たかがヤジだと言うなかれ。公人のやることではない。処分を求めるべきだ」とコメントしています。
「スパイ防止法」の制定が今国会でねらわれているなかでのヤジであることも見過ごせません。
先の小川氏も「スパイ防止法」などが制定されると「国会でこういうヤジが飛ぶほど相互監視、密告社会が到来するのが歴史の常」と危惧しています。東京新聞も、「政府が『スパイ防止法』の制定を目指す中、政権に批判的な人を『スパイ』とレッテル貼りする懸念が早くも現実となりつつある」と警告しています。
辰巳氏は「国会の場で軍拡に反対する声をスパイとして封殺するもので、暗黒社会の再来になる。許してはならない」と強調します。
■謝罪・撤回が必要
ヤジが問題になり、謝罪・撤回した例もあります。日本共産党の志位和夫委員長(当時)が2018年、沖縄で米軍事故が多発している問題を国会で追及したのにたいし、松本文明内閣府副大臣が「それで何人死んだんだ」とヤジを飛ばしました。
沖縄県民を冒涜(ぼうとく)する暴言と批判され、松本氏は辞任。安倍晋三首相(当時)は「任命責任は私にある。沖縄県民、国民におわびしたい」と謝罪しました。
今回のヤジは国会で政府に反対する意見を封殺しようとする深刻な問題であり、放置することは許されません。
発言者は今のところ特定されていませんが、坂本哲志予算委員長は3月30日、「自民党の国対の方で不適切な発言を慎むよう注意がおこなわれた」と明らかにしており、ヤジが「不適切な発言」と認めています。
国会は、議会制民主主義と国会の名誉を守るために明確な態度をとることが必要です。ヤジを飛ばした本人の謝罪と撤回を強く求めます。

