日本共産党

メニューとじる

すべての記事が読める

赤旗電子版購読お申し込み

2026年3月30日

主張

国立博物・美術館
文化を軽視し「稼ぐ」を強いる

 「文化を守るのが文化庁ではないのか」「博物館や美術館は商業施設ではない」―SNS上で怒りの声が渦巻いています。文部科学省・文化庁が、所管する独立行政法人の国立美術館、国立文化財機構、国立科学博物館に「稼ぐ」ことを求め、ノルマを課したからです。

 文科省が発表(2月27日)した「第6期中期目標」は、「国費のみに頼らない財政構造へのシフトを目指す」とし、国立の博物館や美術館について、国からの運営費交付金や施設整備費補助金などが収入の6割以上を占める状況を「改善」し、自己収入を確保することを課題としました。

■法律の趣旨に反し

 そのため、展示にかかる費用のうち入場料などの自己収入の割合を、将来的に100%にすることを目指し、2029年度に40%を下回った館は「社会的に求められている役割を十分に果たせていない」として再編の対象にすることまで明記しました。

 「集客」や「稼ぐ」ことが重視され、収益に直接結びつかない研究が切り捨てられる恐れがあります。文化・研究の甚だしい軽視です。

 収入確保に向けて、入場料の値上げや、国内来場者と外国人観光客との入場料に差をつける「二重価格」の導入も求めています。

 入場料の値上げは、国民の文化へのアクセスを妨げます。博物館法の趣旨にも反します。同法は「公立博物館は、入場料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない」とし、館の維持運営のためにやむを得ない場合に「徴収できる」とします。社会教育施設でもある博物館は誰もが利用しやすい料金であることが求められているのです。

 国立博物館・美術館は、展示だけでなく収集や保管の役割を持ちます。国立の文化施設が収蔵する美術品、文化財、自然史資料の保管は空調、調光、温度、湿度を徹底して行う必要があります。脆弱(ぜいじゃく)な素材のものは長期間の展示に耐えられません。

 しかし中期目標は、国立美術館に、所蔵する作品を通年で展示し集客するよう求め、長期展示に必要な設備を整備して、実証事業も開始させるとします。

■国は役割を果たせ

 01年度の独立行政法人化以降、運営費交付金が減らされ続けたことが、国立博物館・美術館の資金難をもたらしています。

 23年に国立科学博物館が、光熱費などの高騰で研究や事業の継続が困難だと訴え、クラウドファンディングを行ったのは記憶に新しいところです。研究費を削って運営を続ける現場にさらに「稼ぐ」ことを強要するのは、国の責任を放棄するものです。

 文科省・文化庁が、採算性・効率性から自ら所管する独立行政法人を守らなくてどうするのか。国立館でこれを許せば、地方の公立館も自治体から稼ぐことを強制され、もうからなければ予算をカットされかねません。

 国立文化施設の収蔵品は人類の宝です。国は、その宝を後世につなぐ責務があります。運営費交付金の抜本増額こそ必要です。