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2026年3月29日

きょうの潮流

 小泉八雲=ラフカディオ・ハーンと妻の小泉セツをモデルにした「ばけばけ」が終わりました。ドラマでも描かれたように八雲は怪談物で知られる作家でしたが、日本の文化や風土を伝える小説を数多く残しています▼その一つが『仏の畑の落穂』という随筆集に収められた「生神」と題する物語です。その中で出てきた「Tsunami」(津波)という言葉が世界に知られるきっかけとなりました▼江戸時代に起きた地震の際、ある村の長者だった浜口五兵衛という人物が取り入れをまつ「稲塚」に火を放ち、村人を高台に導いて津波から多くの命を救ったという話。和歌山県広村(現広川町)で実際にあった話をもとにしたといわれています▼その話は後に『稲むらの火』となって国語の教科書にも掲載されました。モデルとなった浜口儀兵衛(梧陵)は浜口大明神と呼ばれ、生き神様としてあがめられました。紙芝居や絵本にもなった『稲むらの火』は津波の教訓として今に受け継がれています▼東日本大震災15年で集まった全国の語り部シンポジウムでも改めて紹介されていました。こうした各地の伝承を風化させない努力とともに備えを見直す機会にしたいと。それは災害列島の政府が率先してとりくむ課題でもあるでしょう▼異文化への寛容さと、生きとし生けるものの命の価値はすべて等しい共生の考え方をもっていた八雲。「たわいもない日々」を慈しむかのように。現在の世をみるとき、そのかけがえのなさが胸に迫ってきます。