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2026年3月28日

2026とくほう・特報

推しのいる世界 戦場にするな
オタク 反戦デモに立つ

 「#推しのいる世界を戦場にするな」―こんなキャッチコピーで参加を呼びかけるデモが話題です。28日午後2時から国会議事堂正門前で行われる「オタクによる反戦デモ」です。特撮ヒーロー好きで自称「オタク」の男性が呼びかけ、漫画家や声優らが賛同して、準備を進めてきました。また、各地の反戦デモでも、アイドルやミュージシャンを応援する「推し活」グッズを手に参加する人が目立ちます。その思いは―。(内藤真己子、手島陽子)


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(写真)「オタクによる反戦デモ」を企画した高橋裕行さん=群馬県高崎市

 デモの発起人は高崎市在住の高橋裕行さん(58)=元小・中学校教員=です。仮面ライダーやロボットアニメのファン歴40年以上。数千点のコレクションを誇ります。

 きっかけはアメリカによるイラン攻撃でした。「衝撃でした。だってアメリカがやったことは完全な国際法無視じゃないですか。それに日本はどういう態度を取るのかっていったら、アメリカに尻尾を振っている。これは日本が戦争に巻き込まれてしまう。一気に戦争が近づいてきたと感じました」。また「憲法9条があることで、日本はアメリカの要求を一定はねのけてきたけど、改憲されれば手下にされて戦場に送られてしまうかも、と危機感を持ちました」と高橋さん。

 3月半ば、漫画家やアニメ関係者がSNSに戦争反対の思いを投稿しているのをみて「『オタク』も何かできないか」とひらめきました。思い切ってSNSで協力を呼び掛けると、漫画家の所十三氏らが賛同、実行委員会が結成されました。デモ当日には、『機動戦士ガンダム』などのプロデューサー・植田益朗さんもスピーチします。

 デモのバナー(ネット上の宣伝看板)が話題です。暴走族をモチーフにしたヒット漫画の作者・所氏は、背中に憲法9条の刺しゅうが施された暴走族のユニホームを翻し、バイクにまたがるキャラクターを描きました。同氏は「たとえヤンキー漫画でも、無差別大量殺人を黙って見てるような主人公は一人もいないので」と投稿しています。

 「本来、オタク文化は反戦・平和と親和性がある」と高橋さんは強調します。「戦後のアニメ・特撮作品には明確な反戦や自由を守るメッセージが流れています。制作者が戦争体験世代で二度とあんな体験はごめん、という思いが込められているからです。仮面ライダーなんて最後に『人間の自由のためにたたかうのだ』ってナレーションが入るくらいです」。

 「推し」は、単なる趣味ではなく、日常の暮らしや個人の尊厳を象徴するキーワードです。「『今の生活を守りたい』という普遍的な思いから誰もが持っている『戦争は嫌だ』という感覚を大事にしたデモにしたい」と高橋さんは話しています。

ライブ行ける平和推す

 国会正門前に2万4000人が詰めかけた、25日夜の平和憲法を守るための緊急アクション。アイドルやゲームなどさまざまな「推し活」ペンライトが雨の中「憲法守れ」のコールに合わせ揺れました。

 ラップバトルを題材にした音楽ゲームのライトを大小10個近く手にしていた35歳の女性=障害者福祉施設職員=は初参加。「次の世代にライブに行ける社会を引き継いでいくために、どうしても行かなくちゃと思いました」と。11年前、安倍晋三政権が安保法制を強行したときは大学生でした。恩師が危険を熱心に説いてくれましたが政治に無関心で、デモにも行きませんでした。恩師が亡くなったいま、「こういうことだったのか」と気づきました。

 「総選挙の結果を見て、高市早苗首相の改憲発言はヤバいと思いました。だって(改憲されれば)戦争に巻き込まれるじゃないですか。そんなことをして喜ぶのは(戦争で利権を得る)お金持ちだけです。危険が自分事に思えてきたんですよね。それまで人ごとでいたのが恥ずかしいけれど、いまからでも間に合うと思う」。真剣なまなざしを国会議事堂に向けました。

自由縛らせまい

 人気RPG(ロールプレイングゲーム)の名前が入ったブルーのペンライトをかざしていたのは、同ゲームのグラフィックデザイナーだという30代男性です。

 「言論の自由があるからこそ、社会的なメッセージを込めたゲームをつくることができ、言葉で言わなくても、メタファー(暗喩)として伝えられる。僕が関わっているゲームでも反骨とか、政治権力に抗(あらが)う部分があります。それができるのは、僕らに主権があるからなんです。しかしそこに制限をかけられる社会になることに危機感を持っています。自由を縛ろうとするものには抵抗していかなくてはいけない」。決然と話しました。

 人気K―POPグループBTSファンの女性(44)は白い球状の「推し活」ライトを手にしています。「総選挙後、動かないとダメだと思い参加しました。高市さんが総選挙で勝って涙が出てきたりして、どうして泣くのかも整理できなくて、本当にこの状態をどうにかしなくてはいけないと思って、ここに来ています。いままで、憲法が守ってくれていたけれど、危険な状態が迫っているから、もう行動しないとダメだと感じています」。雨でぬれた髪を拭いました。

人権を守るため

 女性向け漫画編集プロダクションの女性たちは、仕事終わりに誘い合って6人できました。「いつもフェミニストの飲み会で政治の話をするんです。その一人が、国際女性デーのウィメンズマーチに参加し、そこで今日の主催側の方と出会った話をしてくれました。それで一緒に行こうとなったんです」と語ります。

 「フェミニズムは私たちが編集しているマンガ雑誌の基調でもあります。このような時代になってしまって。平和じゃないと人権も守られない。戦争は弱い者にしわ寄せがいく最悪の人権侵害じゃないですか。『しんぶん赤旗』日刊紙のデジタル版のお試しをとっていたこともあるんです。今度は日曜版を取ってみようかと思っています」。デモ終了後、地下鉄の駅で再び出会い、こう話してくれました。