「有権者は、本当に維新は必要なのかと見ている」―。昨年10月の連立政権入り後、初めてとなる党大会(21日)で、日本維新の会の吉村洋文代表は「われわれがなぜ存在するのか」「維新の会とは何なのか。存在意義が問われる」と繰り返し訴えました。
巨大議席を得た自民党に埋没する危機感がにじむなか、党大会で打ち出したのは、「自民党のみでは成し得ない改革を実現するアクセル役・エンジン役」「高市・維新改革」の推進です。
中身は、憲法9条「改正」、国会議員定数削減、副首都構想、「社会保障改革」の名での医療費削減など、どれも国民の利益に反します。
■高市支持を頼むが
維新は、高市早苗首相の高支持率を頼みに、高市氏が進める「国論を二分する政策」に加担し、牽引(けんいん)することを存在意義にしようとしています。しかし高市氏への支持は、政権が狙う政策を国民が支持したものとはいえません。
高市首相は、就任3カ月で政権の実績がまだ判然としない時期に、解散から投票まで戦後最短で総選挙を強行しました。党首討論から逃げ、「国論を二分する政策」の中身をまともに語らなかったにもかかわらず、選挙後、9条改憲や武器輸出の全面解禁、非核三原則の見直しなどに踏み込もうとしています。
反対の声は根強く、国民の反撃に直面せざるをえません。実際、「憲法9条壊すな」「戦争に加担するな」と訴える国会前行動は回を重ねるごとに人が増え、25日には雨の中、2万人超が集まりました。
副首都構想や「社会保障改革」は、吉村氏自身が「人気のある政策ではない」「批判を恐れず実行する」と言うように強い批判があります。「社会保険料を下げる」という看板も内実が明らかになるにつれ剥げ落ちます。
■不祥事に口つぐむ
この間、維新議員の数々の脱法行為が明るみに出ています。昨年11月には本紙日曜版報道を契機に、藤田文武共同代表はじめ同党の複数の国会議員、党本部、吉村氏が代表を務める支部が秘書への公金還流をしていたことが判明しましたが、藤田氏らは「適法」と居直っています。
同年12月には、脱税に等しい手法で高額な保険料を免れる「国保逃れ」が党内に広がっていたことが暴露されました。1月7日の中間報告で全貌は追加調査中としていましたが、突然の解散風を前に1週間後、地方議員わずか6人の除名で「組織的ではない」と幕引きしました。複数の国会議員が政治資金をキャバクラに支出していたことも明らかになっています。
維新は「身を切る改革」を最大のセールスポイントとしてきました。しかし党大会では、党の根幹にかかわるこれらの不祥事に一言も触れませんでした。
「身を切る」に疑問の目が向けられるなかで「改革」アピールの寄る辺とするのが、少数意見を切り捨て政権の独裁化をもたらす国会議員定数削減です。「既得権に切り込む」をウリにしながら、政権に取り入り、最大の既成勢力を守る側に立つ―国民との矛盾は不可避です。

