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2026年3月24日

主張

長射程ミサイル
攻撃呼び込む危険 配備やめよ

 他国の領土を直接たたく「敵基地攻撃能力」を持つ長射程ミサイルが今月末、熊本県と静岡県の陸上自衛隊駐屯地に配備されようとしています。政府が2022年末に策定した安保3文書で初めて保有を打ち出した敵基地攻撃能力が実戦配備の段階に入ることになります。

 政府は今も「憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならない」との「基本方針」は変わらないとします。専守防衛とは▽相手から武力攻撃を受けた時に初めて防衛力を行使する▽保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限る―ことなどを言います。

 しかし、長射程ミサイルは性能面からも、想定される運用面からも「専守防衛」とは相いれず、文字通り「他国に脅威を与える」兵器です。配備計画は中止すべきです。

■住民をないがしろ

 防衛省が熊本県の陸自健軍(けんぐん)駐屯地(熊本市)に配備する長射程ミサイルは「12式地対艦誘導弾能力向上型」です。射程は約1千キロとされ、中国や北朝鮮に届きます。

 静岡県の陸自富士駐屯地(小山町)に配備するのは「島しょ防衛用高速滑空弾」です。高速で変速軌道を描いて飛び、射程は数百キロとされますが、将来的には約2千キロまで伸ばす計画です。

 重大なのは、防衛省が配備に当たり、地元住民を広く対象にした説明会を開いていないことです。ウクライナやイランでの戦争で明らかなように、ミサイル配備拠点や弾薬庫が相手国の攻撃目標になるのは必至です。

 健軍駐屯地の周辺には、病院や学校、住宅、商店が密集しています。攻撃されれば深刻な被害が及ぶ住民が強い不安を抱くのは当然です。

 自衛隊制服組トップの内倉浩昭統合幕僚長は、長射程ミサイルの配備先が攻撃対象になることや住民の不安について聞かれ「ご指摘のようなことよりも、抑止力や対処力を高める効果の方が大だ」と述べました(13日の記者会見)。住民の不安をないがしろにするもので許されません。

■9条持つ国として

 「抑止力」と言いますが、政府は安保法制に基づき、日本が武力攻撃を受けていない「存立危機事態」で、米軍を支援するために集団的自衛権を行使し、自衛隊が敵基地攻撃を行う可能性を認めています。事実上の先制攻撃です。

 高市早苗首相は25年11月、中国の台湾侵攻(台湾有事)が「存立危機事態になり得る」と国会で答弁しました。中国と、台湾有事に軍事介入する米国との戦争を想定しているのは明らかです。政府が存立危機事態と認定すれば米国の戦争のために参戦し、長射程ミサイルを撃ち込むことになりかねません。その結末は日本への報復攻撃であり、日本防衛とは無縁です。

 今必要なのは、相手に恐怖を与えることによって相手を抑えつける抑止力の強化を口実に、軍拡に突き進むことではありません。日本は憲法9条を持つ国として、関係するすべての国を包摂して対話で問題を解決する平和の枠組みをつくり、軍拡から軍縮への切り替えでイニシアチブを発揮すべきです。