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2026年3月24日

きょうの潮流

 大江健三郎さんが、20歳で書いた未発表小説2編が見つかりました。大江文学の原点ともいえる貴重な資料。文芸誌『群像』4月号で読めます。その一つ「暗い部屋からの旅行」で、学生の「僕」は政治の闇に巻き込まれそうになります▼一方、R教授は「大学教授になりおおせていた類人猿」と攻撃され、大学を追われます。石を投げられ市議会でもとりあげられ、反論しても誰も聞かず。「彼らの意見によれば僕が猿であるというだけで、彼等は公正な判断力を欠いている」▼なんの道理もないR教授への攻撃は当時の常軌を逸した「赤狩り」を想起させます。東大の学生だった大江さんが、レッテル貼りによる人権侵害への批判を込めて書いた、という気がします▼「戦後民主主義者」を自認し、日本国憲法を生き方の指針としていた大江さん。「九条の会」の発足記念講演会で、9条の「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」の、「希求」について語りました▼アジア・太平洋戦争の惨禍という「日本人が歴史で経験した最も大きい窮境」にあって、「新しい国家の民主主義と平和主義の秩序をつくり上げることを願って…その思いが『希求』という言葉の選び方にあらわれている」と▼高市首相は改憲に意欲を燃やし、民主主義も平和主義もくずそうとしています。戦前のような日本に戻るのか。未来は「私らいま生きている人間の、老人から子どもまでの肩にかかっているのです」。大江健三郎さんの言葉です。