高市早苗政権が導入を目指す「給付付き税額控除」と、それまでのつなぎとして「2年間限定の食料品消費税率ゼロ」を議論するという「社会保障国民会議」。当初、野党から唯一参加していたチームみらいに加え国民民主党が加わり、中道・立民・公明の3党も参加の方向です。
しかし、国会に設けられた正式な機関ではなく、政府と特定の政党間協議の場にすぎません。
■廃止求める党排除
「(国民の)受益と負担や国民経済に大きな影響を及ぼす」(高市首相)内容にもかかわらず、参加政党を「消費税が社会保障の貴重な財源であるとの認識を有し、給付付き税額控除の実現に取り組む政党」に限定し、消費税廃止を求める日本共産党などを排除しています。「国民会議」の名に値しません。
自民党は「消費税は社会保障を支える財源」だとして消費税の減税をずっと拒んできました。しかし、消費税が社会保障の財源だというのは後付けの理屈にすぎません。
1989年の消費税導入で理由とされたのは「税の直間比率の見直し」でした。法人税減税という財界の要求にこたえ、間接税である消費税を導入し直接税の法人税・所得税を減税したのです。
消費税が社会保障の財源かのようにすり替えられたのは2012年、当時の民主党の野田佳彦政権が自民・公明両党とともに、消費税率を5%から10%へ大増税する法案を通したときです。
「社会保障と税の一体改革」と称し、消費税増税と一体で「社会保障の安定財源確保と財政健全化を目指す」としました。「社会保障を維持・拡充するなら消費税増税を」とされたのです。今回、国民会議の参加条件にされたのは、まさにその認識だといえます。
しかし、消費税は使途を社会保障に限定する目的税ではなく、増税の一方で社会保障は切り捨てられてきました。消費税収は、導入当初の狙い通り法人税減収分の穴埋めにされているのが実態です。
国民会議は、消費税廃止を求める政党をあらかじめ排除しており、消費税の温存、ひいては増税を狙うものとなる恐れがあります。
■さまざまな懸念が
給付付き税額控除は、それ自体は現行の所得控除より「下に厚い」という長所があります。ただし、導入と引き換えに▽他の社会保障給付の削減▽消費税の増税▽所得税の累進性を弱める―などとセットにされる懸念があります。
自民党の鈴木俊一幹事長はNHKの「日曜討論」(1日)で「制度設計では生活保護などとの関係を検討する必要がある」とのべています。12年の民主、自民、公明の3党合意では消費税増税とセットの位置づけでした。
高市政権は、制度設計も明確な財源も示していません。
消費税率を食料品のみ2年限定でゼロにするのに伴う課題も多くあります。さまざまな問題を、国民の代表が議論する場である国会で審議せず特定の党だけで議論をまとめ、それを国会に押しつけるのは甚だしい国会軽視であり、許されません。国会で全面公開して審議すべきです。

