家賃の高騰で、若者や高齢者など低所得者が適切な住まいを確保できない事態が広がっています。
■高すぎて住めない
大都市では大規模な都市再開発により、安価な賃貸物件が急激に減少しています。民間の不動産情報会社の調査によると、民間賃貸住宅50~70平方メートルの家賃(共益費を含む)は、東京都では25万円近くに達します。平均的な勤労者が払える限度額をはるかに超えています。
政府の住宅政策が持ち家取得に偏重し、国と自治体が公的住宅政策を一貫して後退させてきたことが、いまの事態を招いています。
公営住宅法は「国及び地方公共団体が…住宅を整備し」「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し…国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する」とします。
しかし、1973年には199万5千戸あった公営住宅は、2023年には176万戸と23万5千戸も減少しました。多くの自治体が新規建設を行わないばかりか、耐用年数を迎えた住宅の建て替えをしないためです。
最低生活を保障する生活保護法には住宅扶助がありますが、収入が最低生活費を上回り生活保護利用の対象にならない場合は住宅扶助を受けられません。政府は住宅政策を転換し、国の責任による恒久的な家賃補助制度を本格的に検討すべきです。
家賃補助制度の萌芽(ほうが)としては、15年にできた住居確保支援金があります。08年のリーマン・ショックで派遣切りや雇い止めされ住まいを失った労働者への求職者支援として創設されました。コロナ禍で支援の条件を緩和したこともあり、多くの若者が利用可能となりました。
17年に始まった住宅セーフティーネット制度は、民間賃貸住宅の空き家を登録、活用し、高齢者、障害者、低所得者などの入居を拒まない住宅を供給します。家賃補助を含む支援が行われています。
■補助はごくわずか
しかし、登録住宅のうち実際に家賃補助が行われているのはごくわずかです。高齢者向け優良賃貸住宅という低家賃住宅も全国の自治体で打ち切りが続いています。
入居を困難にするハードルもあります。「入居に必要な初期費用(敷金等)が不足」63%、「家賃を払い続けるための安定収入がない」33%、「保証人の確保が困難」31%(東京都調査)などです。これらへの対策も必要です。
米・ニューヨークでは民主的社会主義者のゾーラン・マムダニ氏が市長になりました。「家賃を払う余裕がなければ、子ども保育する余裕がなければ、世界都市ニューヨークはあなたにとってどういう意味があるのか」と問いかけ多くの有権者の心をつかみ、若者の支持をえました。
東京・新宿でも14日、「高すぎ家賃何とかして」と若者らがデモをしました。日本では、非正規雇用で安定的な収入が得られない世帯が増えています。未婚化、核家族化など世帯のあり方も変化しています。持ち家偏重の住宅政策を転換し、公的住宅政策を拡充し、手ごろな価格で住める住まいを保障させましょう。

