米追従・戦争の道進む政府追及
(写真)高市首相を追及する田村智子委員長=2日、衆院予算委
総選挙の結果、自民党が単独で衆院の3分の2を占め、自民・維新の与党で衆院の4分の3を占める翼賛的状況のもとで、他の野党が明確な対決姿勢を示せない中、日本共産党は議席が後退しながらも、巨大与党の高市政権と正面から対決する論戦を展開してきました。有権者からは「一歩も引かず頼もしい」との声や、アメリカン・コミックのスーパーヒーローになぞらえた「まるでアベンジャーズだ」などの反響と期待が広がっています。何を明らかにし、政府に何を突き付けたのか。衆院予算委員会での論戦を振り返ります。
イラン攻撃
最大の焦点となったのは、米とイスラエル両国によるイランへの先制攻撃です。田村智子委員長は2日、今回の攻撃が国連憲章と国際法に明確に違反する先制攻撃であることを示し、両国に無法な攻撃をやめるよう求めるべきだと高市早苗首相に迫りました。高市首相は法的評価を避け、違法な先制攻撃を一切批判しませんでした。
田村氏は、先制攻撃を行った側を批判せず、攻撃の中止も求めずに「どうやってこの戦争を止めるのか」と厳しく批判。仲介国のオマーンが攻撃直前にイランの核開発を巡る協議は建設的に行われていると国際社会に発信していたことに触れ、攻撃を中止し、外交による解決の道に戻るよう働きかけるべきだと重ねて求めました。
大軍拡・基地
大軍拡の問題では、辰巳孝太郎議員が12日、政府が来年からの実施をねらう軍拡のための所得税増税を追及。「現行憲法下で防衛力強化に必要な財源確保のために税制措置を行った例はない」(片山さつき財務相兼金融担当相)と認めさせ、「戦前の反省から現行憲法では否定してきたものだ」と指摘し、税率さえ上げれば、軍事費の調達ができる仕組みができてしまうと批判しました。
さらに、トランプ米政権の国内総生産(GDP)比5%への軍拡要求に応じれば、5兆円規模だった軍事費が35兆円にも達することになると明らかにし、日米首脳会談で荒唐無稽な軍拡要求には応じられないと伝えるべきだと迫りました。
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を巡っては、田村氏が9日、普天間基地(同県宜野湾市)の返還期日さえ示せない破綻した計画を撤回し、同基地の即時運用中止と無条件返還を米国に求めるよう迫りました。衆院で沖縄の基地問題を取り上げたのは共産党だけでした。
施策の抜本的転換迫る
経済・暮らし
(写真)高市首相を追及する辰巳孝太郎議員=6日、衆院予算委
物価高騰が続くなか、暮らしと経済の立て直しを巡る論戦も展開しました。田村委員長は2日、消費税を5%に減税し、「タックス・ザ・リッチ(富める者に課税を)」によって財源を確保する政策を提起。大企業による自社株買いや「黒字リストラ」の実態も告発・追及し、“富の一極集中”の是正を求めました。
片山財務相は「経済団体のトップからも似た指摘をいただいている」と答弁。日本共産党の提案が幅広い層に共感を広げる可能性が鮮明になりました。
2026年度予算案で大問題となっている高額療養費制度。昨年、広範な世論の反対で「凍結」に追い込まれた同制度の患者負担上限引き上げ案の「復活」を高市政権は盛り込んでいます。辰巳氏は6日の質問で、政府案による社会保険料軽減の効果は月150円程度にとどまり、利用者の7割以上で負担増となることを明らかにし、命と健康を奪う改悪の撤回を迫りました。
10日の公聴会では、全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長が、「(月額)ペットボトル(飲料)1本分の保険料軽減効果と引き換えに、高額療養費が有するセーフティー機能を失ってもよいのか」、負担増となれば「がん治療を一部ためらう、あるいは諦めることになる」と警鐘を鳴らしました。
「介護崩壊」の実態を告発したのは塩川鉄也議員の質問(11日)です。政府が今国会での成立を狙う法案によって常勤・専従要件や夜勤要件など介護現場の人員配置基準の規制が緩和されれば「職員の負担が増えて、かえって人員不足を拡大させる」と指摘。「根本原因の低すぎる介護報酬を脇に置いて、規制緩和でその場しのぎをすることは、介護労働者の処遇改善やサービス給付拡充に逆行する」と批判し、施策の抜本的な転換を迫りました。
教員の不足や過酷な勤務実態を告発(5日)したのは畑野君枝議員です。畑野氏から教員未配置や休職の増加のもとでの業務過多などの実態を突きつけられた松本洋平文部科学相は「厳しい状況」だと認めました。畑野氏は正規教員の増員や授業の持ちコマ数削減、産休や育休に伴う代替教員確保を要求し、授業量に見合った教員基礎定数見直しによる抜本的増員を求めました。
疑惑
高市首相を巡る疑惑も論戦の重要な焦点となりました。辰巳氏は3日、統一協会との関係を追及。高市首相が1994~2001年に協会系日刊紙「世界日報」に5回登場したことを初めて認めました。これまでの1回だけだったとの説明との矛盾が明らかとなり、各メディアが一斉に報道。SNSでも一気に拡散されました。
さらに辰巳氏は13日、「しんぶん赤旗」日曜版のスクープに基づき、高市首相側が所得税の寄付金控除の対象とならない政治資金パーティー券購入者に「寄付金(税額)控除のための書類」を不正に発行し、脱税に加担していた疑惑の事実関係をただしましたが、首相は否定。寄付ではないとの複数の証言との食い違いが浮き彫りになりました。
これらの論戦の本格的な舞台は参院へと移りました。衆院であらわになった政府の姿勢と矛盾が、さらに厳しく問われることになります。

