今回の日米首脳会談では米国で化石燃料による発電、原子力発電の施設建設に取り組むことを確認しました。日米で協調してアラスカ州の原油生産を進める方針です。また、日米関税交渉で合意された5500億ドル(80兆円台)の対米投資の第2弾として総額730億ドル(11兆円台)のプロジェクトが合意されました。テネシー州とアラバマ州での原発・小型モジュール炉(SMR)の建設とペンシルベニア州、テキサス州での天然ガス発電施設の建設です。
アラスカ産原油については既存の長大なパイプラインの老朽化対策、中東向け原油に特化した日本の石油施設からの転換などで時間とコストがかかる問題が指摘されています。SMRについても、福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉を小型化したもので技術は未確立、核廃棄物の問題を抱え安全性に重大な懸念があります。
気候危機と温暖化対策に逆行することも問題です。先月決まった対米投資第一弾には、330億ドル(5兆円台)のガス火力発電所建設(オハイオ州)が含まれています。今回のアラスカ原油や天然ガス発電施設とともに、「温暖化対策は世界史上最大の詐欺」とするトランプ大統領の化石燃料推進を後押しするものです。環境団体からは「日本政府はトランプ関税の『取引材料』として、化石燃料インフラに公的資金を投じるべきではない」(FoE Japan)と批判の声が上がっています。
対米投資プロジェクトではSMRの日立製作所、ガス火力発電のソフトバンクなど多数の日米企業が関与します。これを財政面で支援するのが日米政府の「戦略的投資イニシアティブ」という枠組みです。資金を出すのは国際協力銀行など日本の政府系金融機関である一方、プロジェクトの最終決定権はトランプ大統領にあります。特定大企業ばかりが恩恵を受ける米国本位の支援策に日本の財政資金を投じることは許されません。

