米国の情報機関を統括する国家情報長官室は18日に発表した年次報告書で、高市早苗首相の「台湾有事は存立危機事態になり得る」との国会答弁(昨年11月7日)について、安保法制に基づき自衛隊が武力行使を行う法的な根拠になり得るとして、「日本の制度上、重みがある。現職首相である高市氏の発言は重大な転換を意味する」と指摘しました。同報告書で特定の国の首相の発言を取り上げるのは異例です。
高市氏の答弁は中国だけでなく、米国からも従来の立場を踏み越えたとみなされていることになり、「日本政府の立場を変えるものではない」という高市氏の弁明は国際的に破綻しています。
報告書は、「台湾有事」発言以降、「日中の緊張は著しく高まった」と指摘。中国は、同発言が1972年の日中共同声明や78年の日中友好条約に違反するとみなして、「台湾の独立運動を後押しすることを懸念している」と分析しました。
さらに、中国が高市氏の答弁に反発して、日本の海産物輸入禁止や人的交流の停止などの対抗措置をとってきたことに言及。中国が「さらなる強制的な措置をとる可能性が高い」と警告しました。
72年の日中共同声明で、中国政府が「台湾が中国の領土の不可分の一部」だと表明し、日本政府は中国の立場を「十分理解し、尊重する」として国交正常化が実現しました。日本共産党は高市氏の「台湾有事」発言について、台湾問題への軍事介入への可能性を示したものであり、国交正常化以降に確認してきた一連の重要な合意に背き、両国の関係正常化の土台を壊す発言と批判。「解決には撤回しかない」と主張してきました。
しかし、高市氏はその後も発言を撤回せず、衆院選中の党首討論(1月26日、テレビ朝日系「報道ステーション」)で「(台湾有事で)共同行動をとっている米軍が攻撃を受けた時に、日本が何もせずに逃げ帰ると日米同盟がつぶれる」と正当化しています。
国家情報長官室は、米政府の17の情報機関を統括しており、米大統領の情報顧問を務めています。

