高市早苗首相は国旗損壊罪の制定を繰り返し強調し、自民党・日本維新の会は17日、党首会談であらためて今国会での成立を確認しました。
国旗損壊罪は「侮辱を加える目的で国旗を損壊し、除去し、汚損した者」を拘禁刑、罰金に処すものです。
高市氏の執念には強いものがあります。みずから国旗損壊罪法案を起草、2012年に議員立法で提出(廃案)、21年にも法案提出の動きの中心になりました。
高市氏の主張は、国旗の損壊は「国家の存立基盤を損なうもの」「国民が抱く尊重の念を害するもの」であり、外国旗の損壊は刑法で罰せられるのに、「日本国旗を損壊しても全くお沙汰なし」でいいのか、というものです。
■成り立たない主張
しかしこの問題は決着済みです。国旗国歌法の制定(1999年)にあたって、小渕恵三首相(当時)は「国旗に対する尊重規定や侮辱罪を創設することは考えていない」と答弁しています。
その理由として「(外国旗損壊罪は)刑法第4章の『国交に関する罪』の中に置かれているとおり、我が国の外交作用の円滑、安全等を考慮して」設けられたものと説明。一方、国旗損壊罪の規定がないのは「国家の威信の保護の在り方として刑罰をもって強制することが適当かという根本的な問題がある」ほか、国旗損壊には器物損壊罪が適用されることをあげています。(政府答弁書)
つまり外国旗の損壊罪は外交上の国益を守ることを目的としており、「尊重の念を害する」などの見地から設けられたものではない、それを日本国旗にも適用するのは筋違い、ということです。
そもそも国旗損壊罪については、必要性がありません。岩屋毅前外相も「(あちこちで日の丸が壊されるなど)社会問題化しているわけでない。つまり立法の根拠となる『立法事実』がなく、その必要性が高まっているとは思えません」(「毎日」1月1日付)とのべています。
にもかかわらず国旗損壊罪を持ち出すのはなぜか。
公的施設に掲示された国旗を損壊すれば器物損壊罪で処罰されます。ところが国旗損壊罪では自分が所有する国旗を抗議の意思表現や芸術表現などで使うと処罰されうることになります。国旗の扱いを警察が取り締まる―それは思想・良心の自由、表現の自由を奪う違憲立法であり、社会を萎縮させるものです。
国民の思想を監視する「戦争する国」づくりの一環といわなければなりません。
■広がる懸念と批判
こうした動きに懸念と批判が広がっています。
「窮屈な社会が待っていないか」(「朝日」)、「表現の自由や思想の自由が脅かされる可能性がある」(「毎日」)との社説が出されました。日本弁護士連合会はすでに2012年の法案に対し国家の威信や尊厳を刑罰で強制することは国家主義を助長し、表現の自由を侵害しかねないと反対を表明。今回も札幌や広島弁護士会から「憲法違反」との会長声明が出されています。
国旗損壊罪を許さない世論と運動を強めましょう。

