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2026年3月11日

きょうの潮流

 「あの晩のことは、今でも鮮明に覚えています」。児童らと一夜を過ごした高台の小さな神社。凍える寒さのなか、たき火を囲みながら、歌をうたったり、なぞなぞをしたり。足元には津波が迫っていました▼宮城・南三陸町の小学校教諭だった斉藤早苗さんは、東日本大震災の体験を伝えてきました。同じ町の沿岸部にあった家は1960年のチリ地震で浸水。周りのおとなたちから、地震が起きたらできるだけ高い所に避難しろと言われながら育ちました▼「教訓を語り継いで、体に染み付かせる大切さを知った。大震災のことも記憶があるうちは伝え続けたい」。被災地の語り部が集ったシンポジウムで語っていました。ふだんから地域や学校が、住民や子どもの命をなんとしても守るという協力関係を築いておくことの大事さも▼15年の歳月は私たちに何を教えてくれたのか。そう銘打った集いは伝承や教育の必要性とともに、被災地や被災者への変わらぬ国の冷たさにもふれました▼いまだに体育館や公民館が避難所になっている、プライバシーやトイレがいつも問題に、自助ばかり強いる…。能登地震でも災害関連死が多く起きたように、支援のあり方を根本的に考え直すべきだと訴えました▼大学生の継承者は「自分たちがつなぐことで、次の災害で命を救うことができるかもしれない」と。語りは過去を振り返る回想ではなく、未来の命を守るための行動--。全国の語り部たちの宣言は、災害にたいする国の姿勢をも問うています。