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2026年3月9日

東日本大震災15年

宮城 発生した放射性汚染廃棄物→福島 焼却処分
住民驚き「聞いてない」
業者など住民説明行わず

 東京電力福島第1原発事故により宮城県内で発生した農林系の放射性物質汚染廃棄物(汚染廃)の少なくとも一部が、福島県に運ばれ処分されていたことが宮城県の市民団体の調査で明らかになりました。国の実施要項は搬入先の「周辺住民の理解を得る」ことを定めており、守られていない疑いがあります。「責任がない」と強弁する宮城県の姿勢も問われます。(伊藤佑亮)


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(写真)旧田代放牧場へ向かう運送業者のトラック(大崎耕土を放射能汚染させない連絡会提供)=画像一部加工

市民団体が調査

 調査したのは、「大崎耕土を放射能汚染させない連絡会」と、「放射能汚染廃棄物『一斉焼却』に反対する宮城県民連絡会」。両団体は2025年7月ごろから調査を開始。福島県内に本社を置く運送会社2社のトラックが9月までに、汚染廃の保管場の旧田代放牧場(加美町)に出入りしているのを確認。9月上旬には、うち1社のトラックが同放牧場から福島県磐梯(ばんだい)町にある産廃処理業者「日曹金属化学会津工場」に搬入したことを確認しました。

 宮城県大崎市や加美町などの4市町では23年以降、県外処理を実施していますが、同県は「風評被害防止」を理由に事業者名と搬出先自治体名は明らかにしていません。

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(写真)日曹金属化学会津工場=2月25日、福島県磐梯町

 搬出入された汚染廃は、放射性物質汚染対処特措法(特措法)に基づき、1キロ当たり8000ベクレル以下の一般廃棄物や、自然減衰した未指定廃棄物です。加美町は23~25年度で、未指定廃棄物ではない牧草200トン、100ベクレル以下のほだ木270トンを県外処分する計画です。費用の全額が国の補助金と復興特別交付税で賄われます。

 「放射性物質汚染廃棄物処理事業費補助金(農林業系廃棄物の処理加速化事業)」の実施要項には、市町村は実施にあたり焼却施設などの「周辺住民の理解を得るものとする」(11条)としています。

 ところが、磐梯町の町民は「住民説明会があったという話は聞いたことがない」「この問題は初めて聞く話だ」と証言します。磐梯町は「企業の取引内容に関することであり、お答えはできかねます」として、住民説明会について本紙に回答しませんでした。

説明責任どこに

 宮城県議会では昨年2月に日本共産党の金田基県議がこの問題で、住民への説明責任はどこが負うのかとただしました。

 村井嘉浩知事は、汚染廃の処理は特措法に基づき、県に「責任がない」と強弁。県環境生活部長(当時)も「受け入れ事業者と施設が立地する自治体のご了解を頂いた上で適切に進めている」と答弁しました。

 市民団体は隔離保管が原則とし、焼却は必ずばいじんの飛散により、放射性物質を拡散させるとして焼却の即時中止を要請。▽国や宮城県に受託事業者名と搬出先自治体名の公表▽事業者、自治体を含めた責任の所在を明確化▽環境モニタリングの関係住民や議会への説明―を求めています。

 日曹金属化学は「ご質問にお答えすることはできかねます」と本紙に回答しました。

住民に負担押しつけ 国・東電 責任果たせ

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(写真)岩渕参院議員

 岩渕友参院議員の話 原発事故によって発生した放射性廃棄物は、本来事故を起こした東京電力の責任で処理するべきものです。ところが国も東電も自らの責任を果たさず、住民や自治体に負担を押しつけています。そのもとで今回のような重大な問題が、住民に知らされないまま起きています。

 15年たっても事故の被害が続く原発について、国は最大限活用するという方針にかじを切りました。原発ゼロを決断し、事故の責任こそ果たすべきです。