「さまざまな声に耳を傾け謙虚に、しかし大胆に政権運営にあたる」―。総選挙大勝後、高市早苗首相はそう述べました。しかし、「謙虚に」は口先だけです。高市政権は、来年度予算案の13日採決を前提にした強権的な国会運営を行い、国会を政府の下請け機関のように扱っています。
衆院予算委員会で予算案審議が始まったばかりの2日、自民党は、13日に審議を打ち切り、衆院を通過させる日程を提示。これを前提に出口ありきで、予算委員長(自民党)職権で審議日程を次々に決めています。地方公聴会の日曜日の開催や中央公聴会も自民・維新の与党だけの賛成多数で決めました。
■国会を追認機関に
高市首相の解散・総選挙強行で予算の年度内成立が困難になったにもかかわらず、国会の予算案審議を大幅に省略して年度内成立を迫るなどというのは、かつてない強権政治そのものです。予算審議を形骸化し、国会を政府の追認機関にするものです。国民の納めた税金の使い道を国民の代表である国会がチェックし律するという、憲法が定める財政民主主義を壊します。
122兆円という巨額の予算、しかも、中身は大軍拡と特定大企業へのバラマキ、一方で国民の暮らしの予算は抑え込むなど問題は山積みです。物価高騰対策、税財政、社会保障などの各分野で十分な審議をし、国民の立場で厳しくただすことが不可欠です。
高市首相の統一協会との癒着や米国・イスラエルのイラン攻撃への政府の態度もただす必要があります。
与党は13日審議打ち切りの日程を撤回すべきです。十分な審議時間を確保し、予算の修正や組み替えの議論も行わなければなりません。
憲法は「国会は、国権の最高機関」と定めます。全国民の代表としての議員が政府の問題点をただし、権力を監視する役割を持ちます。国会審議を軽視することは、国会議員に託された国民の声に耳をふさぎ、無視するものです。
行政府の長である首相の意を受けて審議を短縮するのは、「三権分立を掘り崩す、立法府の自殺行為」(日本共産党の辰巳孝太郎議員)です。議会制民主主義の否定であり、今後に禍根を残す民主政治破壊の暴挙です。
■数に驕り答弁回避
自分に有利になるよう衆議院を解散し、それで多数を得たとして数の力で押し通すなどは許されません。しかも、その数は小選挙区制の上に立った虚構のもので、民意を正確に反映していません。
十分な国会審議のために野党が求める暫定予算案の提出にも取り合わず、年度内成立に固執する―。自分勝手な解散への批判をかわし、「年度内成立をなし遂げた」と自らの権力を誇示し、今後の法案審議などもゴリ押しする姿勢が見えます。
同時に、審議日程の短縮で高市首相が答弁に立つ機会を回避する狙いも透けます。野党の追及に答えることは国民の疑問や批判に答えることです。それから逃げ、虚構の多数に驕(おご)り「問答無用」で国民の声を切り捨てる―。世論の包囲で高市政権の暴走を止めなければなりません。

